【今日の一冊】テクノロジーは人間をこう変えていく デジタル・エイプ


デジタル・エイプ
ナイジェル・シャドボルト,ロジャー・ハンプソン,神月謙一(訳) (クロスメディア・パブリッシング)


レビュー

デジタル・エイプとはデジタルなサル、すなわちスマホなしでは1日たりとも過ごせない「私たち」のことである。
1967年、動物学者デスモンド・モリス博士は『裸のサル(The Naked Ape)』という本を発表してセンセーションを巻き起こした。本書『デジタル・エイプ(The Digital Ape)』はそのオマージュだ。すなわち裸になったこと(Naked)が、人類と他の類人猿を決定的に隔てたように、いまデジタルなテクノロジー(Digital)が、これまでの人類の生き方を決定的に変えようとしているというわけである。
デジタル・エイプの暮らす環境には、当然ながら光と影がある。光の部分は、人間の能力がデジタルなパワーと結び付くことによって、飛躍的な成果を生み出している姿だ。そしてその影に当たるのは、政府や新興の巨大テクノロジー企業のデータや富の扱いをめぐる公平性、透明性といった観点からの疑義である。
とはいえ著者らは、デジタルが私たちにより自由な社会と、公平な民主主義をもたらすだろうという楽観主義の立場を取る。そして私たちが取り組まなければいけないことは何か、またルールが必要だとすれば何を基準とするのかというテーマについて、網羅的な議論を行っている。
人類史という大きなパースペクティブからデジタルを論じた本書は、私たちの未来を考えるうえで欠かすことのできない、数多くの貴重な視点を与えてくれるはずだ。


本書の要点

・デジタルテクノロジーは、私たちの社会を大きく変えようとしている。それは文化的な「進化」とも呼ぶべき規模だ。すなわち「裸のサル」から「デジタルなサル」への進化がいま起こっている。
・AIが意識を獲得する日は当分来ないし、人間の仕事を根こそぎ奪い去ってしまうことも起こりえない。人間の持つ独創性は、今後も新たな仕事を生み出し続けるだろう。
・デジタルなデータは、基本的に公共財とみなすべきである。同時に個人のプライバシーは尊重されなければならない。この2つのバランスをとることが、新しい時代の民主主義を実現するカギとなる。


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