注目される認知症短期集中リハ、意欲などの改善も
2009年8月31日(月)15時35分配信 医療介護CBニュース
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2006年度に創設された介護老人保健施設の「認知症短期集中リハビリテーション」(以下、「短期集中リハ」)は、記憶の訓練や日常生活活動の訓練などを組み合わせたプログラムを、個別に20分以上、週3回行うことを標準としている。 プログラムは回想法をはじめ、現実見当識訓練(RO)法、音楽療法、学習療法、運動療法、作業療法などさまざまだ。今年度から加算が1日当たり60単位から4倍の240単位に引き上げられた。また、軽度の認知症患者に限られていた対象者を中重度の患者にも拡大し、老健だけでなく、介護療養病床と通所リハビリ事業所でも行えるようになるなど、認知症の治療法として期待を集めている。
群馬県伊勢崎市にある老健「アルボース」では、1997年から音楽療法を実施しており、現在は回想法と音楽療法を交互に行う「短期集中リハ」を行っている。
理学療法士で同施設リハビリテーション科の中島隆主任は「短期集中リハ」について、入所から在宅復帰までのマネジメントの一環として位置付けられるとし、「多職種が協働する中でプランニングされ、医師もかかわりながら、科学的に行われるもの」という。
アルボースにおける「短期集中リハ」のプログラムは、音楽療法と回想法を交互に行い、週1回の学習療法と合わせて、週3回行われる。
音楽療法については医師同席の下で、毎週2回、20分間音楽療法士と利用者との個別セッションを行う。まず、利用者とのあいさつから始まり、音楽療法士と1対1で自由な会話を行う。その会話から思い出される曲を歌ったり、楽器の演奏や曲に合わせてリズムを取るなどの活動を行っている。
取材時に音楽療法を受けていた、多発性脳梗塞による血管性認知症の男性(75)。音楽療法士が歌う唱歌に合わせて、うちわ太鼓を叩いていた。
アルボースでは、この男性の状況の変化を調べている。脳卒中感情障害(うつ・情動障害)スケールでは、「JSS−D」は開始前2.87だったものが、終了後は0.73となったほか、「JSS-E」では2.77からマイナス0.60に改善したという。また、脳卒中高次脳機能スケールである「JSS−H」は3.13から1.19となったほか、「日本語版COGNISTAT」においては86から96に変化したという。
また、男性に音楽療法の終了後に毎回、生活などへの意欲について聞き取り調査を行った。治療開始時には、音楽療法に興味がなかったり、今の生活も楽しいとは思わないと答えていたが、リハビリを始めて4回目あたりから、音楽療法が楽しい、今の生活を楽しいと答えるようになった。また、パソコンを使いたいといった意欲も生まれてきたという。
全国老人保健施設協会が06−08年度に行った調査研究では、「短期集中リハ」について「臨床的認知症重症度の進行予防、心の健康維持を通じて、ADLの改善が認められる。さらに、周辺症状の改善によって在宅系居所への復帰効果が期待される」と報告されている。中島主任は、「『短期集中リハ』は主に意欲や積極性などの情動を改善させられるのではないか。本人が意欲的、積極的になり、ADLが改善する姿を見ることで、家族の心にも刺激になると思う」という。
一方で、中島主任は「短期集中リハ」の各プログラムは、まだ施設や実施者の技量などに委ねられているところがあり、十分に標準化されていないという。科学的な評価もこれからで、今後も検証が求められるという。
また、施設長の美原恵理医師は、「短期集中リハ」自体はあくまでも介護報酬上の事項だが、「何よりも利用者のためによりよいケアを行い、アウトカムが出るように試行錯誤していきたい」という。そのためには、データの積み上げが重要とし、よいケアのために何をすべきかを常に評価して、積み重ねていくことが必要としている。
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