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経済総合

有能なリーダーの会話術

2009年10月13日(火)8時50分配信 All About

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有能なリーダーは会話を続ける努力をしている [ 拡大 ]

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 部下と日常的に会話を続けることができる。これが有能なマネージャーの特徴です。しかし会話は漠然とするものではありません。コーチ型マネージャーの会話のステップをご紹介します。

■会話を続けるために必要なこと

 有能といわれるリーダーに備わっている特徴的な能力があります。それは、日常の中で頻繁にコミュニケーションを交わすことができる能力です。会議室に呼んで改まってお互いに話すというのではなく、さりげない日常会話を頻繁に交わすことができる能力です。

 コーチングとは、相手が目標を達成する際に必要なスキルや知識を特定し、目標達成するまで質問したり具体化します。日常会話の中にその要素を盛り込むことができれば、関わる相手のパフォーマンスはぐんと上がります。そうはいっても、具体的にどのような会話を交わせばいいのか、なかなかわからないものです。

「最近はどう?」
「あれ、うまく進んでいる?」

 くらいの会話は交わすことができても、それから先に話を進めるうちに、

「なんだ、まだやっていないのか」
「あれほど言っただろう」
「わからないやつだな」

 と相手を非難したり、評価するような会話になってしまうというケースも少なくありません。会話を続ける、それも相手が行動するための会話を頻繁に行うということを実現するには、次の2つのことが重要なステップとなっています。

1. 部下についての情報を持つ
2. 会話に効果的な流れを作る

 では、これから各ステップについて解説します。

■ステップ1 部下についての情報を持つ

 ある会社の部長は、率いるチーム全員の成績が優れていることで知られています。たとえば彼は、海外に出張に出かけると、必ず一人ひとりにお土産を買って帰ってきます。それも、みんなにチョコレートというようなものではなく、部下一人ひとりに合ったものを買って帰ります。A子さんにはピンクの口紅、B子さんにはオレンジのマニキュアというように。

 すなわち、彼は常に一人ひとりについての情報を持っており、その人が好きなものや似合うものを把握しているわけです。お土産の例は、その部長の一面を表しているにすぎませんが、趣味嗜好だけでなくその人に合った声のかけ方や仕事の指示の方法などについても工夫をしています。そのため、部長と部下との信頼関係があり、チームワークがよいなどの効果をもたらしています。

 誰にでも100%同じように通用するコミュニケーションはありません。前述の会話例でも「何でもいいから、いま気になっていることを教えて」という漠然とした言い方が通用する人もいれば、「今すぐに対応が必要なことを3つ教えて」という言い方が効果的な人もいます。

 そのためには、相手のコミュニケーションのタイプ、強み、学習スタイル、スキルなどの情報を常に探り、その人に合った対応をすることが大切です。

 あなたは、部下のことについてどれくらい知っていますか? あなたの部下を一人思い浮かべてください。そして、その人について、次の項目に答えてみてください。どれくらいその人の情報を持っているでしょうか?

・その人の1年後のビジョン
・会社に期待していること
・成功体験や失敗体験
・入社の動機
・得意としていることや不得意としていること
・仕事がはかどる時間帯
・学習スタイル
・モチベーションがあがるとき
・ストレスが高くなるとき
・コミュニケーションのタイプ
・誕生日
・いま気がかりとなっていること
・家族構成
・どんなときにうれしいか

 いかがでしょうか。5つ以上の項目に答えられないとしたら、まず、それを知ることを会話のきっかけとしてください。

■ステップ2 会話に効果的な流れを作る

 相手のパフォーマンスを上げる会話には、構造を持つことが大事です。コーチングではこれを「コーチングフロー」といいますが、会話の始まりから終わりまで、基本的な流れがあります。

 この会話のフローは、面談や会議などでも活用することができます。フローを意識すれば、たった5分でも効果的な会話を作ることができます。

 次に、それぞれのフローについて解説します。

●1.アイスブレークとセットアップ
 アイスブレークとは「氷を割る」という意味があります。凍った海を船が氷を割りながら進んでいく様子を比喩し、「道を作る」ことや会話の準備をするを意味しています。「最近どう?」などがこれにあたります。少しでも相手の緊張を解くことと、話をする準備をすることが目的です。

 「いま話をしてもいい?」というのは、これから話をする心の準備をさせる言葉です。これがセットアップになります。

 会話例としては
・今から10分間時間をとってもいいでしょうか
・最近元気そうだね
・いくつか知りたいことがあるんだけど

 などがアイスブレークやセットアップとなります。

●2.目標を決める
 会話の目的を明確にし、どこに向けるのかを共有することは大事です。「いったいこの話の意図は何か?」「私に何を言わせたいのか」など相手を懐疑的にしてしまったらアウトです。有意義な会話に発展することはないでしょう。

 会話例としては
・これから例のプロジェクトの課題についてはっきりさせたいのだけれど
・あの仕事の今後の進め方について決めませんか
・業績を上げるための案を具体化したいんだ

 など、会話の行き先を見せることが大事です。

●3.現状を明確にする
 先ほどの目標を明確にしたら、現状を明確にします。目標ばかり話しても現実味のない会話になってしまいます。現状はどうなのかを具体的に聞いたり、話し合うことで、いまやっていることがくっきりと見えてきます。

 会話例としては
・今目標に対してどれくらい進んでいるか
・今できていることとできていないことは何か
・うまくいってることは何か

 など、繰り返すことで今の立ち位置を明確にすることができます。

●4.ギャップを明確にする
 目標と現状をはっきりさせると、おのずとギャップが明確になります。そうなると、「目標を達成するために必要なことは何か」「何が課題なのか」が見えてきます。

 会話例としては
・何が足りないのか
・妨げとなっていることは何か
・できない部分を埋めるにはどうするか

 など、前進させるために何が必要なのかについて聞くことができます。

●5.具体的な行動を決める
 ギャップがはっきりすれば、後はそれに取り組むだけです。これまでのステップを踏めば、次の行動のアイディアは出やすくなります。

 会話例としては
・ここまで話してみてやろうと思ったことは何でしょう
・いまやれることは何だろうか
・この1週間で何に取り組みますか

 など、話した内容から出てきたアイディアや行動を引き出します。

 以上の5つのステップを意識すると会話をしやすくなります。特に面談やミーティングなど、最初のうちは15分から30分の面談という形から始めると話しやすいでしょう。この順番どおりにいかなくても、5つのステップを意識するだけでも、いま自分が何を目的にして相手と話しているのかを意識しやすくなります。話す機会が増え、お互いに共有する情報が増えてきたら、たとえ5分間座って話しをするだけでも、効果的な会話に発展するようになります。


 ただ漫然と「会話は多い方が重要」と思っていても、実際に行うのは難しいものです。日ごろから相手についての情報を持ち、フローに則って相手を行動させるための会話をする。この2つのステップを踏むことを意識してみてください。

【コーチング・マネジメント:平野圭子】

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