<グロービス名物講師のマーケティング最新事情>イケメン四天王が狙うのは誰だ?資生堂「uno FOG BAR」のターゲット
2009年9月11日(金)9時50分配信 GLOBIS.JP
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妻夫木聡、小栗旬など豪華イケメン四天王を揃えた資生堂「uno FOG BAR」のCM。霧状のスタイリング剤という新商品が、CMを通してリーチしたいターゲットは誰なのか――。
クールな商品をクールなイケメンがクールに紹介
妻夫木聡・瑛太・三浦春馬・小栗旬というイケメン四天王がCMで活躍する新発売のスタイリング剤、uno FOG BAR(フォグバー)。この商品の販売促進(Promotion)を中心としたマーケティング・ミックスが実によくできている。
髪を固めずにまとめる、全く新しいジャンルの霧状スタイリング剤だ。資生堂が開発した新整髪成分を使用しており、ワックスなどと違い、まったくべとつかず、「さりげない」ヘアスタイルを実現できるというのが特徴という。8月21日に、発売された。
商品のターゲットは恐らく20代前半がメインだとすれば、このCMが往年のビートルズへの見事なオマージュになっているのは分らないかもしれない。だが、それを知らなくともスタイリッシュな映像には間違いなく目を引きつけられるはずだ。惜しげもなくタレントを一つのCMに投入するのがお家芸ともなっている資生堂ではあるが、この4人が集合しているのは何とも豪華で目が離せない。
まずはJIJIPRESSがYoutubeにアップしている「四天王の会見の模様とCM 」を見てほしい。
消費者の購買決定プロセスを説明するモデルであるAIDMAで考えると、最初のAttention(注意喚起)はバッチリだ。
「ワックスにさよなら」という、製品(Product)の本質を突いたコピーもいい。つまるところ、男性がヘアスタイルを気にするようになったここ四半世紀のスタイリング剤は、髪のホールド感とサラサラ感、そして近年はそこにいかに動きを出すかにのチャレンジである。
ヘアジェルはホールド感抜群であるが直線的に固まってしまう。ムースは自然な仕上がりだがホールド感が弱い。スプレーは髪全体が面で固まってしまう。
そんな不満を解消すべく、数年前に登場したのがワックスだ。よく伸びる粘着性の素材を髪になじませれば、適度に動きを付けてしっかりホールドできる。しかも、何度でも手ぐしでスタイルを直すこともできる。しかし、「あのベタベタ感が嫌だ」と感じる男子も多かったことだろう。
「シュッシュッ」という擬音でスプレーよりも大まかな霧を噴き出す様を表現し、イケメンたちが、サラサラ感を残しつつ、自由な形にしっかりホールドした髪を何度でも直せる様子を演じる。「おっ、よさそうかも」と思わせる、AIDMAのInterest(興味喚起)もバッチリである。
この商品の販売促進にはWebサイトにかなり力が入れられている。新しい使い方と製品特性を理解させるのが欠かせない商品であるため、それをしっかり伝えるために、ヘアスタイリストが実演したり、使い勝手の良さを語ったりしている。興味を持たせてから、実際に「これなら欲しい」と思わせるAIDMAのDesire(欲求喚起)への橋渡しをしっかり担っているのだ。
Webサイトには自分の顔の画像を撮影してアップすると、はめ込み合成で自分が主人公になるオリジナルCMを作れるスペシャルサイトがある。作ったCM動画をメールで人に知らせて共有することもできる。ウェブサイトを訪れたユーザーを、知人や仲間内への情報発信者にすれば、そのユーザーはもちろん、口コミを受けた人たちも、もはや商品を忘れない。AIDMAのMemory(記憶)達成である。やがて店頭で四天王がバッチリ映ったキャンペーン棚を目にし、AIDMAのAction(購買)に至る。
非常に良くできた製品(Product)を、優れた販売促進(Promotion)が後押しするという構造であるが、さらにそれ以前にターゲティングの絶妙さがWeb サイトでよくわかる。マーケティング・プロセスでは、4Pと呼ばれるマーケティング・ミックスの前提となるターゲットの選定が重要になってくる。この商品は一体、誰に売ろうとしているのか。本当に若い男子だけなのか。