<チーム・スピリット>エコで遊んで低燃費実現! 「インサイト」開発秘話 前編
2009年6月3日(水)10時4分配信 @niftyビジネス
エコで遊んで低燃費実現! 「インサイト」開発秘話 前編 [ 拡大 ]
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本田技研工業(ホンダ)の「インサイト」は、200万円を切る低価格ながら、走行性、使い勝手といったクルマの基本性能にも徹底的にこだわった新型ハイブリッド車である。2009年2月6日の発売から3月23日までの約1カ月半で2万1000台を受注。新車販売が低迷するなか、大きな話題になった。インサイトは、価格の低さやプリウスとの性能比較が注目されがちだが、実はクルマの楽しみ方を変える新機能を持つ。この記事では、実用燃費の向上を実現する新しいコンセプトのシステム、「エコアシスト」の開発にスポットを当てる。
気概を込めた1枚の企画書
株式会社 本田技術研究所
四輪R&Dセンター LPL
主任研究員
関 康成氏
2007年の夏、「インサイト」開発の全体責任者を務める関康成氏は、気の重い夏期休暇を送ることになってしまった。開発プロジェクトそのものは2006年1月にスタートし、作業は順調に進んで、プロトタイプまでできていた。通常なら、ここまでくれば後は量産まで一気に突っ走れる。
ところが、ハード面でのスペックがほぼ固まりかけたここにきて、「カタログに掲載するモード燃費はともかく、実用燃費ではライバル車に負けたくない」という声が社内で上がった。これが、四輪開発センター LPL 主任研究員の肩書きを持つ関氏の「夏休みの宿題」となり、彼の気を重くさせていたというわけだ。
実用燃費はドライバーの運転方法によって変わる。ハード面はともかく、ドライバーの行動まで制御することは、とても踏み込める領域ではないと、ほとんどの技術者たちは考えていた。
関氏は、以前ユーザーを対象に実施した調査のことを思い出した。その調査データには、クルマや道路コンディションなどの条件がたとえ同じであっても、運転方法によって燃費に20%以上も差が出ることが、はっきりと示されていた。例を挙げれば、発進時のアクセル・ペダルの踏み過ぎ、一定速度で走っているときにアクセル・ペダルを踏んだり離したりを繰り返す、このような運転方法では燃料のロスが起こる。これが燃費の差となって表れるのだ。
関氏は、モード燃費を変えられない以上、実用燃費が向上する運転方法をドライバーに提案するシステムを組み込むしかない、と考えた。システムなら、プロトタイプを変更することなく、ソフトウエアの対応で実用燃費の向上が実現できるかもしれない。「何よりドライバーの行動を変えて、エコドライブを推進する機能は、新しい。これは絶対に実現してみたい」と、関氏は当時の意気込みを振り返る。
そうして関氏は、気概を込めてアイデアを1枚の企画書にまとめ、休み明け早々、プロジェクト・メンバーたちに発表したのだった。
2009年2月6日に発売された「インサイト」。写真は「INSIGHT L(ミラノレッド)」