<5分で分かる最新企業戦略>ザ・リッツ・カールトン 顧客満足とコミュニケーションの善循環
2009年7月28日(火)10時0分配信 @niftyビジネス
ザ・リッツ・カールトン 顧客満足とコミュニケーションの善循環 [ 拡大 ]
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実際に有力企業が実施している成功・先行戦略事例を、分かりやすく5分でご紹介。今回は、不況でラグジュアリーホテルが収益低下に苦む中、唯一高収益を維持しているザ・リッツ・カールトン東京の「世界最高クラス」のサービスへの取組についてご紹介いたします。
米国発の金融危機の影響で、ラグジュアリーホテルが価格競争の果ての収益低下に苦しんでいる。2008年11月現在の1室あたりの収益力(Rev PAR : 客室単価と客室稼働率の積)が、前年同月比1万円以上下落したホテルもあるなかで、唯一Rev PAR4万円台を維持しているのが、ザ・リッツ・カールトン東京である。
また、ホテル業界が最も重視する指標のひとつである顧客満足度においても、2006年から2008年にかけ、3年連続トップを獲得、数多くの「顧客への高いサービス」の逸話を裏付けた(「2008年日本ホテル宿泊客満足調査」 J.D.パワー アジア・パシフィック)。
ザ・リッツ・カールトンは、企業理念や組織文化の浸透の取り組みなど、CS(顧客満足)経営のお手本として語られることが多い。顧客満足のカギとなる「世界最高クラス」といわれる高いサービス水準を実現するための取り組みと、そのコミュニケーションについて紹介する。
1.規制緩和がもたらした外資系ラグジュアリーホテルホテルの日本進出
図表1.2000年以降に東京・大阪で開業した
主な外資系ラグジュアリーホテル
ホテル市場は、バブル崩壊で激変した。
バブル崩壊以前に大きなウエイトを占めた法人需要が激減、個人需要に軸を移さざるをえず、多様な顧客層に対応した市場の細分化が起きた。
個人需要のなかでも、新興富裕層や欧米ビジネスマン、アジア富裕層などを取り込んだのが「ラグジュアリークラス」といわれるホテルである。
1990年から2005年の15年間で、金融政策の緩和による株式の新規公開やM&Aの増加などで年間所得2,000万円超の新興富裕層は1.9倍に増加、その新興富裕層をターゲットにした外資系企業の日本市場への参入増加により、東京に出張する欧米ビジネスマンも増加した。さらに、2002年に「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が政府主導で立ち上げられたことにより、訪日外国人客数、特にアジア各国からの来訪者数は2001年の297万人から2007年613万人(106%増)へと大きな伸びを見せた。
このような新興富裕層や欧米ビジネスマン、アジア富裕層等の訪日外国人が、高級ホテル市場の潜在顧客ではあるが、2000年以前、国際的な知名度を持つ外資系ラグジュアリーホテルチェーンの東京進出はまだわずかだった。海外の各都市で欧米ビジネスマン、アジア富裕層等を既に顧客として獲得していた外資系ラグジュアリーホテルチェーンは、日本市場でも顧客の囲い込みを図るべく、2000年以降の「都市計画法」「建築基準法」などの規制緩和をきっかけに一気に日本市場進出を開始した。2002年から2009年の7年間でザ・リッツ・カールトン東京を含む七つのラグジュアリーホテルが開業したのである。