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次世代自動車特集:エコカー普及、電力産業の構造変化要因に

2009年10月27日(火)13時45分配信 ロイター

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 10月27日、エコカーの普及が電力産業の構造変化要因になる可能性。写真は東京モーターショーで電気自動車「リーフ」に乗る日産のゴーン社長(2009年 ロイター/Issei Kato) [ 拡大 ]

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 [東京 27日 ロイター] 太陽光発電など再生可能エネルギーの飛躍的拡大と電気自動車の普及によって、電力産業やインフラのあり方が大きく変化する可能性が浮上している。

 今後多くの市民の間で、太陽電池で発電した電気を電気自動車やハイブリッド自動車に積まれた蓄電池に貯めて、状況に応じて電力会社に売るといったライフスタイルが広がることも予想され、「供給者と利用者」という形で固定化されてきた電力会社と市民の関係は、より双方向的な姿に変わるとみられる。環境テクノロジーとIT(情報技術)ネットワークによって電力インフラが強化されることで、様々なニュービジネスが生まれることも期待できそうだ。

 <EV先進都市を目指す横浜>

 横浜市は、日産自動車<7201.T>と電気自動車に対応した都市作りを目指す「ヨコハマ・モビリティー・プロジェクト・ゼロ」を共同で進めている。横浜市は、普及のカギを握る給電スタンドを2009年度で100基設置するなどインフラ整備を進め、電気自動車への注力を鮮明にしている地元企業を側面支援する。同市の担当者は「EV(電気自動車)が赤レンガ倉庫の横をさっそうと走るコマーシャルフィルムを世界に流したい」と期待する。

 同市は、再生可能エネルギーの利用推進に関連した様々な実験や、規制緩和を実施する構想も進めている。学校など公共施設や家庭に太陽光パネルを設置し、電気をお互いに融通し合うことを検討中だ。既存の配電系統とも連係し、太陽光で発電した電気を電気自動車に積んだ蓄電池に貯め、必要に応じて系統に電気を流す「ビークル・トゥー・グリッド(車から配電網へ)」も視野に入れている。電気事業法など関連規制に抵触する可能性があると同市ではみているが、東京電力<9501.T>にも今後協力を申し入れる意向だという。

 <再生可能エネルギーの拡大、系統安定化が課題に>

 太陽光や風力など再生可能エネルギーを拡大するには、既存の電力インフラとどう共存するかが課題となる。天候によって出力が変動する太陽光や風力による電気が系統に大量に流れ込むと、送配電網の需給バランスが乱れ、電圧や周波数といった電気の品質を左右する要素に悪影響を与える恐れがあるためだ。 

 経済産業省が7月に公表した報告書は「太陽光発電が2020年頃に20倍(約2800万キロワット)規模に増えた場合、系統安定化対策に大きな課題を投げかける」と指摘した。温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減する方針の新政権は、再生可能エネルギーの大量導入を目指す方針だが、その場合、既存の電力インフラに支障を来たさないよう対策を準備しておく必要があるとされる。

 具体的な問題点として、太陽光などの発電が天候要因で急に落ちた場合、その分を補う火力発電などをバッファーとして常に準備させておく必要があり、その分、コストが膨らむことが挙げられる。

 再生可能エネルギーの発電規模が小さいうちは既存設備で対応可能だが、今後数十倍の規模に増えてくると対策が求められるというのだ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の諸住哲・研究員(工学博士)は「2020年以降の太陽光の普及量だと、(バッファーとして使う)火力発電が太陽光の出力変動について行けなくなるので、それを蓄電池でカバーすることが必要になる」と語る。蓄電池が随時電気を充放電することで、再生可能エネルギーの出力変動に対応するという仕組みだ。

 <電気自動車は発電インフラに>

 こうした課題の解決に一役買いそうなのが、電気自動車などに搭載した蓄電池だ。電気自動車に搭載した蓄電池は、それ自体が仮想的な「電力インフラ」とみなすこともできる。家庭の太陽光発電の電気を吸収している時には系統安定化の役割を果たし、夜間、自宅で蓄電池の電気を利用する場合は発電所になる。

 25%削減達成に向けた政府の専門家会議委員を務める飯田哲也・環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長は、「現在日本には約7000万台のクルマがあるが、電気自動車は10キロワット程度の蓄電池を搭載するので、合計出力7億キロワットに上る」と指摘。その上で同氏は、「クルマは平均して15%くらいしか動いていないので、85%が止まっているとすれば6億キロワットの出力が利用できる計算だ。実際に使えるのが10分の1程度だとしても、揚水発電が持つ能力(2000万キロワット程度)くらいは楽に使える」と語る。もし将来、電気自動車がガソリン車を代替するようになれば、大規模な発電所が多数新設されることと同等の効果が確保できるというわけだ。

 生産量拡大に伴うコスト低減が進めば「太陽光発電と蓄電池と合わせて200万円以下で購入できる可能性がある」(諸住氏)という。200万円以下の値段になれば、電力会社が提供する電気料金と同水準のコストで電気が調達できる「グリッド・パリティー」が現実味を帯びてくる。

 自動車用蓄電池を再生可能エネルギー用に併用すると電池の寿命が短くなるため、そうした使い方を自動車メーカーが嫌うとの見方もある。ただ、日産と住友商事<8053.T>は今月、使用済みの蓄電池を住宅やビルの蓄電用に再利用する事業を共同で進めると発表するなど、派生的なビジネスが今後次々に出てきそうな機運も広がっている。

 <電力インフラの分散化と新ビジネスの可能性>

 ITネットワークとつながることで、インテリジェント化された電力インフラは「スマートグリッド」と呼ばれ、米国をはじめ世界中でこの分野が経済成長のけん引役になると期待されている。天候や自然エネルギーの発電状況、家庭やオフィスでの電気の使用状態、自動車にある蓄電池の空き容量など、電力インフラに影響する情報がITネットワーク上に集積・分析され、最適に運用されるよう様々なサービスやソリューションが提供されるという近未来の姿が、世界のビジネス界で真剣に議論されている。

 すでにITの巨人グーグル<GOOG.O>が、家庭で充電できるプラグ・イン・ハイブリッド自動車と送電網をつなぎ、インフラを最適に運用するためのソフトウェアの開発に乗り出した。世界中に分散したコンピューターのパワーを利用して巨大な検索エンジンを生み出したグーグルが、エネルギー分野にも分散型ネットワークを基盤としたビジネスモデルを持ち込み、覇権を握ろうという意志がうかがえる。

 IBM<IBM.N>やマイクロソフト<MSFT.O>などもこの分野のビジネス拡大を虎視たんたんと狙っている。地域独占による中央集権型の電力供給システムを堅持する日本にも波及するのは確実とみられる。

 ISEPの?田氏は、「炭素がマネーの価値を持つ『炭素本位制』と情報通信技術が重なった分散型テクノロジーが世界の潮流だ。モノからサービス、サービスから価値に経済が流れており、日本もこのメガトレンドに乗らないといけない」と強調している。

 (ロイター日本語ニュース、浜田健太郎:編集 田巻 一彦)








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