証券大手の7─9月期は黒字予想、通期黒字化が焦点
2009年10月27日(火)15時3分配信 ロイター
10月27日、野村など証券大手の7─9月期は黒字予想、通期黒字化が焦点に。写真は都内の野村證券支店。9月撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai) [ 拡大 ]
-PR-
[東京 27日 ロイター] 野村ホールディングス<8604.T>など証券大手の2009年7─9月期決算は、4─6月期に続いて黒字を確保しそうだ。
最終利益の幅は4─6月期に比べて縮小しそうだが、夏季という季節要因からビジネスは凪ぎになるため、サプライズではない。注目は引き続き、前年度赤字だった各社が2010年3月期の通期決算で黒字になるかどうか。
トムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリスト3人の、7─9月期の当期利益の予測平均値は、野村HD(米国会計基準)が62億円、大和証券グループ本社<8601.T>が70億円。銀行系のみずほ証券<8606.T>は73億円となっている。
4─6月期の実績は、野村が114億、大和が178億。みずほは旧新光証券との合併にともない負ののれんによる特別利益(約1102億円)が発生し、当期利益が1295億円に押し上げられていた。
<リテールはおおむね堅調>
証券業務をリテールとホールセールの2部門に大きく分けた場合、各社に共通するのは、リテール部門における7─9月期の投資信託の販売が、4─6月期比で同水準か微増となった可能性が高いこと。日経平均株価がおおむね1万円を回復した水準で安定し、投資家心理が落ち着いたことなどが寄与したもようで、リテールが安定的な収益源という構図は変わりそうにない。
<トレーディング収益、引受けの手腕で明暗も>
一方、バラつきが出そうなのはトレーディング収益だ。東京証券取引所の平均売買高は7─9月期、4─6月期比で約10%減少。売買が細ることはトレーディング収益を圧迫し、証券会社の収益機会は減りやすくなる。
クレディ・スイス証券の大野東アナリストは各社のトレーディング収益について、大和は320億円と4─6月期比で約8%減を予想。野村は955億円で同21%減、みずほは170億円と同47%減を見込む。
みずほのトレーディング収益の落ち込みの理由について大野氏は、4─6月期に発生したモノライン向けの引当金戻り益の反動がある点と、国内の債券トレーディングの減速を挙げた。さらに、親会社のみずほフィナンシャルグループ<8411.T>が7月に実施した公募増資は5520億円と大型で、みずほ証券の業績に寄与したはずだが「トレーディング関連収益の減少を補えていない」(同)と指摘する。
7─9月期の公募増資で大型なのは、みずほFGのほか、大和証券グループ本社(2076億円)、全日本空輸(ANA)<9202.T>(1489億円)、エルピーダメモリ<6665.T>(633億円)などがあった。しかし、このなかでみずほ証券が、親会社の公募増資以外に主幹事を獲得できた案件は大垣共立銀行<8361.T>のみ。大和がシーボン<4926.Q>の株式新規公開(IPO)の主幹事、野村がANAやジーエス・ユアサ<6674.T>(345億円)の公募増資や、クックパッド<2193.T>のIPO主幹事をつとめたのとは対象的となった。
もっとも「今年度末にかけては久々のファイナンス・ラッシュ」(引受関係者)と言われるほど、資本増強に踏み切る上場企業は増えそうだ。各証券が順調に主幹事を獲得していけば、引受・売出手数料やトレーディング収益の押し上げは期待でき、金融市場が予想外に混乱しない限り通期決算の黒字化は現実味を帯びそうだ。
トムソン・ロイター・エスティメーツによると、過去90日間に主要アナリスト(野村は5人、大和は6人)が出した2010年3月期通期の当期利益の予測平均値は、野村が631億円、大和が715億円となっている。みずほ証券については通期決算の予測値を出しているアナリストが1人しかいない。
各社の7─9月期決算の発表日は、野村が28日、大和とみずほは30日。
(ロイターニュース 江本 恵美記者 編集:布施 太郎)