一部家電は中間期営業黒字も、パナソニックの通期上方修正が焦点
2009年10月28日(水)12時27分配信 ロイター
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[東京 28日 ロイター] 家電大手の2010年3月期の中間決算(4―9月期)は、パナソニック<6752.T>とシャープ<6753.T>が営業黒字に浮上する可能性が出ている。
7―9月期は国内のエコポイント効果で薄型テレビや白物家電が好調だったほか、政府の補助金効果で太陽電池も堅調。一方で、ソニー<6758.T>の営業赤字は続くとみられ明暗が分かれそう。薄型テレビ事業とゲーム事業の採算改善が遅れ、ソニーの7―9月期の営業赤字は4―6月期に比べて拡大した可能性が指摘されている。年末商戦を控えた家電メーカーは現時点での計画修正には慎重だが、パナソニックが通期予想の上方修正を打ち出してくるかが焦点になりそうだ。
<パナソニックの4―9月黒字化が焦点に>
4―6月期に201億円の営業赤字を計上したパナソニックは7―9月期の営業損益を2億円程度の黒字とみているが、アナリスト予測は約290億円の黒字だ。プラズマテレビは厳しいが、液晶テレビとデジタルカメラが改善し、省エネ家電を対象にするエコポイント効果で国内の白物家電も堅調とみられている。会社予想で200億円の赤字としている4―9月期は黒字転換した可能性がある。
ただ、2010年3月期の通期営業利益予想の750億円を上方修正してくるかどうかは不透明だ。同社は8月にも、4―6月のコスト削減が想定より進んだとして4―9月期の営業損益予想を200億円の赤字に上方修正したが、通期予想は据え置いたままで慎重な姿勢が目立つ。これに加え、4―9月期の実績が予想を上回れば、通期の上方修正の余地がさらに生まれるが、いちよし経済研究所の主任研究員・張谷幸一氏は「年末商戦前に予想を修正するのはなかなか難しい。上期実績が計画比でよかったとしても、そのまま通期に乗せて上方修正する可能性は考えにくい」とみている。
同社の薄型テレビの販売台数計画は前年比5割増の1550万台と強気。エコポイント効果もあって台数は堅調とみられているが、依然として価格下落が進行しており、収益面での不透明要素が強い。
さらに三洋電機<6764.T>の買収は海外の独禁当局の審査で遅れているが、今期に連結化されれば業績予想に大きな変更が求められるため、現時点での修正を控えるとの見方が多い。
<ソニーは7―9月の営業赤字が拡大か>
ソニーは4―6月期に257億円の営業赤字だった。同社は営業損益に構造改革費用を計上しており、4―9月期も工場の売却・閉鎖が続いていることから赤字が残る見通しだ。4―6月期に比べて7―9月期の赤字が減ったかどうかがポイントになりそうだが、アナリスト予測では592億円と赤字幅が拡大している。スウェーデンの通信大手エリクソン<ERICb.ST>との携帯合弁ソニー・エリクソンの7―9月期決算は赤字幅が4―6月期より縮小したが、ソニー本体のテレビ事業とゲーム事業の高コスト体質がなかなか改善されずに苦戦が続いているもようだ。
JPモルガン証券・アナリストの和泉美治氏は、ソニーの7―9月期について「ゲーム、金融、テレビの3つが悪い」と指摘。4―6月期には株価上昇でソニー生命に運用益が出た。7―9月期はこうした特殊要因がなくなるため、営業赤字は4―9月期よりも「悪くなっていると思う」との見方を示した。
特にゲーム事業の苦戦は深刻だ。9月には主力商品の「プレイステーション3」の新型機を従来機より値下げした。3週間で100万台を売るなど台数ベースでは好調だったが、値下げによって「逆ざや」が拡大した可能性がある。売れば売るほど赤字が拡大するとの見方があり、損益面では厳しい状況が続いているようだ。これからの「ネットワーク戦略」の顧客基盤を固めるためにプレステ3の台数確保を優先するとしても、ライバル機である任天堂<7974.OS>の「Wii」やマイクロソフトの「Xbox360」もほぼ同時期に値下げしており、クリスマス商戦は混戦模様だ。
ソニーの10年3月期の営業損益は1100億円の赤字予想。大根田伸行副社長は、社内的には営業損益の黒字化を目標にしていることを明らかにしているが、テレビやゲームの年末商戦を見極めるまでは通期予想を動かしにくいとみられている。
<シャープの通期予想は強気>
シャープは4―6月期に260億円の営業赤字を計上したが、7―9月期のアナリスト予測の平均は251億円の黒字。4―9月期で営業黒字化が達成できたかどうかが焦点となりそうだ。北米と欧州で液晶テレビを大型サイズに集約したほか、液晶パネルの価格が安定して採算が改善したもよう。さらに太陽光発電システムの普及が加速。日本では1月からの補助金が復活したほか、11月からの余剰電力買い取り制度が開始する予定で国内市場の太陽電池は好調だった。
シャープの10年3月期の営業利益予想は500億円。上期予想はゼロで、下期に通期のすべてを稼ぎ出す計算で、市場からは「強気」とみられている。ただ、シャープが4―9月期に黒字転換したとすれば「下期の回復だけに頼っているとは言えなくなる」(大和証券SMBCアナリストの三浦和晴氏)との声が出ており、強気とみられていた会社予想に対しては、市場の理解が深まりつつある。通期予想は、液晶パネルの価格動向と太陽電池の需要動向が変動要因になりそうだ。
10月1日には「第10世代」と呼ばれる大型ガラス基板を世界で初めて使用する堺工場が稼動した。堺工場で生産された液晶パネルは自社の液晶テレビのほか、同工場の運営会社に出資予定のソニーをはじめ国内外のテレビメーカーに供給する。
特に巨大な供給能力を埋めるためソニー以外の供給先を確保するのが課題となる。堺工場の運営子会社、シャープディスプレイプロダクトの佐治寛社長は16日の出荷式で「(世界の市場は)足元では供給不足。来年中ごろまで(この状況が)続くのではないか」との見方を示している。中国を含む新興国で需要が増えているという。
家電大手の10年3月期の事業展開は、構造改革やコスト削減を優先した「利益ゼロを意識した戦略」(野村証券金融経済研究所アナリストの片山栄一氏)だ。年末商戦を間近に控え、来期以降の事業が意識され始める中で「次の成長戦略」を打ち出す時期に来ている。特に、韓国勢に比べて多くの事業で利益率が劣っているのは深刻で、市場では「次への期待」(同)が高まりつつある。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二)