EUが英政府によるノーザン・ロック分割案を承認、売却に道筋
2009年10月29日(木)10時36分配信 ロイター
-PR-
[ロンドン/ブリュッセル 28日 ロイター] 欧州連合(EU)の独占禁止規制当局は28日、英政府による英銀ノーザン・ロック<NRKx.L>分割案を承認し、政府管理下に置かれた同行の売却に道筋がついた。
英政府は同日、政府が保有する銀行株の管理機関であるUKフィナンシャル・インベストメンツ(UKFI)の新しい最高経営責任者(CEO)に、スイスの金融大手UBSのロビン・ブーデンベルク氏を任命。今後ノーザン・ロックの売却先選定作業の先頭に立つ。
EUの執行機関である欧州委員会は、EU加盟27カ国の政府が実施した銀行救済策を精査しており、今後政府支援を受けた多くの銀行に対し資産売却、支店閉鎖、市場シェア縮小などを勧告する見通し。こうした流れのなか、オランダの金融グループING<ING.AS>は26日、事業を銀行と保険の2部門に分割すると発表。分割後の資産は政府支援を受ける前から30%縮小する。
欧州委は今後、英国のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)<RBS.L>とロイズ・バンキング・グループ<LLOY.L>のほか、フランス・ベルギー系のデクシア<DEXI.BR>、ベルギーのKBCグループ<KBC.BR>に対しても再建策についての判断を下す。
ノーザン・ロックの再建策は、同行が英政府から多額の公的資金による支援と預金保証を受けたことで、独占禁止規制に抵触するのではないかとのEU当局の懸念を和らげることを主眼に策定された。
具体的には、リテール預金業務と住宅ローン業務を取り行う「ノーザン・ロック・PLC」と、すでに実施された住宅ローンと無担保融資に関連する業務を引き継ぐ「ノーザン・ロック・アセット・マネジメント」の2つに分割される。後者は新規融資は実施せず、いわゆる「バッドバンク」となるが、ノーザン・ロックによると移管される融資の90%は回収可能で返済は滞っていない。
ノーザン・ロックの資産買収をめぐっては、英金融市場への参入をめざす金融機関などの注目を集めるとみられる。ホフマン最高経営責任者(CEO)は記者団との電話会見で、英市場が寡占化しているのは明白だが、その中でノーザン・ロックのブランドはよく耐えてきたと指摘。売却について「タイムテーブルはないが、(英市場の競争激化に)ノーザン・ロックが貢献できる可能性はある」と述べた。
ノーザン・ロックの資産を買収する可能性のある企業として名前が挙がっているのは、英小売大手のテスコ<TSCO.L>。この他、リチャード・ブランソン氏率いるバージン・グループ傘下の金融会社、バージン・マネーも買収の機会を探るとしている。また豪最大銀のナショナル・オーストラリア銀行(NAB)<NAB.AX>の英現地法人トップは28日、ロイターに対し、事業拡張に貢献する企業の買収案件は検討するとしながらも、具体的な銀行名は挙げなかった。
ホフマンCEOによると、ノーザン・ロックの資産を買収したとしても、政府による預金保証の恩恵は受けられない。一方で融資規制の順守は求められるという。