インタビュー:アジアでM&A業務強化目指す=大和証券G
2009年11月2日(月)20時0分配信 ロイター
11月2日、大和証券グループ本社の鈴木社長は、アジアでM&A業務の強化を目指す方針を示した(2009年 ロイター/Toru Hanai) [ 拡大 ]
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[東京 2日 ロイター] 大和証券グループ本社<8601.T>の鈴木茂晴社長は2日、ロイターとのインタビューで、ホールセール部門の赤字が今後拡大する可能性はほとんどないとの見方を示した。足元は潤沢なディールフローに支えられ、投資銀行業務が黒字化する展望を示した。
鈴木社長は、また、今年末で三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>とのホールセール部門での提携が終わった後のグループ全体の収益性について、得るものも失うものも両方あるため、中期経営計画に掲げた2011年度に経常利益2000億円以上を稼ぐ方針を変える必要はないとも語り、収益力の拡大に自信を示した。
鈴木社長は、その過程でリスクは正しいと判断すれば、取るべき部分で取ると強調。また、アジアでのM&Aアドバイザリー業務を強化するため、現地の金融機関との提携や買収などを検討することを明らかにした。
金融機関の自己資本規制をめぐっては、国際的に規制強化の流れにあり、日本では野村ホールディングス<8604.T>が2度目の公募増資に踏み切った。大和は7月に公募増資で約2000億円の資本増強を行ったが、鈴木社長はこれ以上の調達について「当面は必要ない」と話した。
大和は10月30日に発表した2009年4─9月期の連結決算で最終損益が198億円の黒字と、前年同期の赤字から改善した。ただ、7─9月期は、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>との合弁が12月末で解消されるホールセール部門、大和証券SMBCの当期損益が8億円の赤字。グループ全体の当期利益は19億円にとどまり、トムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリスト3人の予測平均値70億円を下回った。
インタビューの主な内容は以下の通り。
──上期決算の総括を。
「自慢できるものではない。リテールはマーケットのボラティリティが小さいなかで、着実に利益を積み上げられるようになった。(顧客資産)残高もしっかり積み上がってきた。しかしホールセールは、全体として収入が少ないなかで、自己資金投資部門で評価損の計上もあったため振るわなかった。(三井住友との)提携解消の後に向けての準備をしていかなければならない」
──7─9月期だけでみると、ホールセールは赤字だった。今後は。
「赤字拡大の可能性はほとんどない。7─9月期は引受も少なく、収益が少ないなかで評価損を計上したのが響いたが、今後はそれなりのものが出てくるので利益を出していける」
──世界的には自己資本規制の強化の流れにある。大和は7月に公募増資で約2000億円を調達したが、今後増資の必要性は。
「世の中なにが起こるか分からないのので、絶対100パーセントということはないが、今の時点では、潤沢なので当面は必要ない」
──中期経営計画で掲げた経営目標の数値を、三井住友との提携解消の後も据え置いているが、なぜか。
「(経営目標の数値据え置きは)減るビジネスもあるが増えるビジネスも圧倒的に多い、ということだ。銀行から得ていたこともあったが、トータルでみると失っていたものもある。つまり、ほとんど変わらないと思っているし、実際そうだと認識している。中期計画は変える必要性はない」
「これまでやってきたことをそのままやっていくスタンスに変わりはない。デメリットが大きくクローズアップされるが、解消によって得ているビジネスが相当ある。今後、いろんなところとの業務提携やフリーである分の身軽さが大きく出てくると思う。合弁解消で物事を早く決められるようにもなった」
──リスクコントロールと収益の拡大はどう両立するのか。
「一部には(大和が)リスクをとっていないと勘違いもあるようだが、投資銀行でリスクを取らなければ利益はゼロだ。リスクは取っているに決まっている。(大和の)アセットは増えているしレバレッジも効いている。慎重にはやっているが、リスクは取らないとビジネスにならない。大型の投資も、いいと思えばやる。われわれとしては、合弁解消の直後なので、慎重にやる必要があるということで、ずっとというわけではない」
──引き続き自己資金投資の業務では、たとえばファンドを形成して投資を行うという戦略に変わりはないか。
「引き続きそう考えている。PI(プリンシパルインベストメンツ)では、アジアを中心に強く考えている。これまでは動けなかったが、整理されてくればと考えている」
──グループ全体でアジアでの業務強化を重点目標に挙げているが。
「かなり本格的にやろうと思う。すでに海外に約2500人の人材を配置しており、アジアにモノ、カネを投入しようと考えている。グローバルな企業として生き残らなければいけないのははっきりしており、やはり、アジアで高いプレゼンスを上げれば、生き残ることができる。アジアはまだまだ(伸びる)余地を残している地域だ。相当力を入れようと思う。これからはかなり、実質的に動きがあるとみてもらっていい」
──アジアでM&A業務拡大のために何らかの提携などを模索するというイメージか。
「アジアで買うのか、自分で作るのか、具体的に考えていきたいと思っている。いま香港やシンガポールに(M&Aの)すでに部隊がいるので、そことの兼ね合いを考えながら、いろんなことを考えたい。(買収した英M&Aブティック)クロース・ブラザーズのようなサイズでいい会社を見つけるのは非常に難しいが、あのようなところがあれば是非買いたい。アジアでそのようなパートナーを見つけようとすると、(いま価格は)暴騰しているので簡単ではないだろうが、息長く考えていきたい」
(ロイターニュース 江本 恵美、根岸 真由美)