英中銀、追加の量的緩和めぐり難しい判断に直面
2009年11月4日(水)16時4分配信 ロイター
11月3日、イングランド銀行が追加の量的緩和をめぐって難しい判断に直面。写真はロンドンのイングランド銀行。3月撮影(2009年 ロイター/Stefan Wermuth) [ 拡大 ]
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[ロンドン 3日 ロイター] イングランド銀行(英中央銀行)は5日の政策会合で、量的緩和拡大をめぐる議論をする際、相反する一連の経済指標が何を意味するかを把握し政策決定をする必要がある。
第3・四半期の国内総生産(GDP)は、6四半期連続のマイナスを記録。これにより、今回の景気後退(リセッション)は戦後最長となった。
一方、民間部門の調査によると、経済は安定、もしくは、拡大していることが示されている。小売売上高は2007年12月以来最も速いペースで拡大しており、消費者心理も上向いているほか、製造業の伸びも過去2年で最大となっている。
こうした強弱まちまちの経済指標は、中銀の悩みの種となっている。中銀は、英経済の実態を把握するだけでなく、どの経済指標に特に注目するかを判断しなければならない。
一方、野村証券の欧州部門の首席エコノミスト、ピーター・ウエストアウェー氏は「中銀は特定の指標に特に重きを置くつもりはないだろう」と指摘。弱いGDPを受け、多くのエコノミストによる見通し修正は見当外れとの考えを示した。
<エコノミスト予想>
英中銀の政策に関するエコノミスト予想はここ1年、さほどあたっていない。また、ここ数カ月のエコノミスト予想は大きく変動している。7月の政策決定について、エコノミストの間では資産買い入れ規模が拡大されるとの見方が大勢だったが、実際には行われなかった。8月については、資産買い入れ枠は据え置かれるか、もしくは250億ポンド拡大されるとの見方でエコノミストの見方は分かれていたが、中銀は買い入れ枠を500億ポンド拡大した。
第3四半期のGDPは、エコノミストのプラス予想に反して、前期比マイナス0.4%となった。GDP発表から数日以内に、11月の量的緩和停止を予想していたエコノミストの半数は予想を変更した。
ロイターがまとめた最新の調査では、3分の2以上のエコノミストは、今月の量的緩和拡大を予想。ただ、これまでの予想が外れてきたことで、エコノミストの間での確信はさほど高くない。バークレイズのエコノミスト、サイモン・ヘイエス氏は「量的緩和拡大の方に予想は傾いたが、誰もあえて大きなリスクを取りたくない」と指摘した。コメルツ銀行のピーター・ディクソン氏は、今週の政策会合で資産買取枠が500億ポンド増額されると予想しているが、その確率は最も高くても60%との見方を示した。
<データへの信頼度>
速報値ベースの第3・四半期GDPを中銀がどの程度重視するかも不透明だ。過去にも中銀は、公式データの正確さに疑問が生じた場合、データを置き換えたり、将来像を描いてから現在行うべきことを決めるバックキャスト分析を行ったことがある。
第3・四半期のGDPは金融関係者だけでなく、8月時点で約プラス0.2%の予想を示していた中銀にとっても驚きだった。
GDP速報値データのうち40%だけが最終的なGDPに反映される。そのため速報値が大幅に修正されるということは広く知れ渡っている。
ドイツ銀行の英首席エコノミスト、ジョージ・バックリー氏の試算によると、2007年までの10年間で、速報値と確報値の間の相関性は10%に過ぎない。
1998年第4・四半期のGDP速報値はプラス0.2%だったが、確報値はプラス1.1%に大幅に修正された。
データサンプルの違いや、質問形式が定量調査的というよりも、むしろ定性調査的なことも、結果が触れやすい原因となっている。
ただ、こうしたことを踏まえても、ギャップを埋めるのは容易ではない。
バックリー氏は、中銀がどのようなバックキャスト分析を行うか、予想するのはかなり難しいとの見方を示した。
(Christina Fincher記者;翻訳 伊藤恭子;編集 吉瀬邦彦)