銀行増資懸念が株価の重し、外為・債券は様子見
2009年11月6日(金)13時48分配信 ロイター
11月6日、東京市場は日経平均が反発しているものの、銀行の増資懸念などが上値を抑える構図になっている。写真は2006年1月、東京証券取引所で(2009年 ロイター/Toru Hanai) [ 拡大 ]
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[東京 6日 ロイター] 週末6日の東京市場は、日経平均が反発しているものの、銀行の増資懸念などが上値を抑える構図になっている。前日に目立った長期金利の上昇は一服し、外為市場とともに様子見気分が強まっている。
欧州中央銀行(ECB)が出口戦略を模索しているとの観測も一部に出ているものの、市場は米欧日の利上げはかなり先になると予想し始めており、過剰流動性の行き先がどこになるのか探る展開が続きそうだ。
<米株高受け買い先行だった株式市場>
株式市場では日経平均が反発。5日の米国株市場でダウが大幅高となり2週間ぶりに1万ドルを回復した流れを受け、東京市場でも買いが先行した。ただ、売買高は低調で買い一巡後は伸び悩んでいる。「ヘッジファンドのポジション調整売りや、メガバンクの増資懸念などが上値圧迫の要因だ。海外勢中心に好決算を織り込んだポジションを構築していたため、予想を上回る決算でも反応が鈍く、材料出尽しとなる銘柄も目立つ」(東海東京証券・エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との声が出ている。
ヘッジファンドの決算を控えた換金売りは今週がピークとみられ、季節要因の需給悪化は一巡しつつある。だが、国内企業の増資が相次ぐ懸念や、景気の持続性に対する懐疑的な見方などが根強く、市場は楽観的なムードとはなっていない。
特に海外勢の中に鳩山由紀夫政権への拒否反応が強まっているとの指摘が出ている。ある外資系証券の関係者は「財政赤字を放任する一方、明確な成長戦略が見えず、ヘッジファンド勢の鳩山政権への嫌悪感と円建て資産売りの動きは、決算前の換金売り後も継続する気配がある」と話している。
ただ、米国の利上げがかなり先になったとの受け止め方が広がっており、流動性相場への期待感は残っている。第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏は、米金融政策の動向について「FRB(米連邦準備理事会)の行動パターンから、需給ギャップの縮小(景気が潜在成長率を継続的に上回る)が1年程度続いた後に利上げをしている。今回、7─9月期に上回ったため、この状態が継続すれば2010年の10月以降が利上げのひとつのタイミングとなる可能性はある」と予想する。
また、邦銀関係者の1人は「過剰流動性がさまざまなマーケットを物色した後に、日本株に来る可能性は残っている」と話している。
<国内勢にもくすぶる財政悪化懸念>
前日に長期金利が大幅上昇した円債市場は、一転して小動き。きょう米国で発表される10月米雇用統計の結果を見極めたいとして大きくポジションを動かそうとする意欲が乏しく、調整程度の値動きにとどまった。
ただ、前日の10年利付国債入札が不調に終わり、市場ではあらためて財政リスクを意識する声が出ている。トヨタアセットマネジメントのチーフファンドマネジャー、深代潤氏は「今後、財政悪化をマーケットがどう消化していくかは、本来、国の方向性や財政の優先順位を決めるべき政権の中枢の問題意識にかかっている」と指摘。「国家戦略的な立場で政策の方向性、財政の継続性を示し、口だけではなく実行に移さない限りはこの問題は片付かない。プライマリーバランスの均衡が見えるところまである程度の説得力を持ってマーケットに訴えかけられるかが焦点になる」と厳しくみている。
<イベント前に様子見の外為市場>
ドル/円は海外市場での上昇が一服。90円後半でレンジ取引になった。ダウが1万ドルを回復し大幅高となったことなどを材料に、海外市場でドル/円は89.98円から90円後半まで上昇。東京市場早朝に90.86円まで上値を伸ばしたが、ここで上値を抑えられた。
日本の財政悪化をにらんで海外勢は円売りスタンスにあるものの、「91円付近にあるとみられるまとまったオプションが意識される」(外銀)ことから、ドル/円で上攻めしにくいという。90円台では輸出企業の売り意欲が強いことに加え、今週末にかけて米雇用統計や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などイベントを控えているため様子見ムードも強く、ドルは90円後半で緩やかに水準を切り下げた。
<中銀イベントでもユーロやポンドの買い続かず>
ECB理事会での政策金利据え置きは予想通りで、ノー・サプライズ。一方、トリシェ総裁が1年物資金供給オペを12月分で最後とし、延長しない考えを示唆したことで、ユーロ/ドルは海外市場でいったんは1.4918ドルまで上昇したが、その後は上げ一服になり、東京市場では1.48ドル後半でもみあった。バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は「1年物オペが終了に向かうことは、ほぼ織り込み済みだった。今後のオペの詳細に関する決定は次回に先送りしたほか、先行きの金融緩和措置の縮小についてはゆっくりとしたものになることを強調しており、ECBも含めて各国中銀はそろって出口戦略には慎重だ」と受け止めている。
<キャリー・トレード強まらず>
市場の当面の注目は週末の米雇用統計とG20財務相・中央銀行総裁会議。とりわけ「雇用統計次第では、その後のシナリオが変わる可能性もある」(邦銀)ことから、イベント前の様子見ムードがキャリー・トレードを抑えているとの声は多い。
一方「ECB、BOE(イングランド銀行、英中銀)とも出口に向かうスタンスは非常に慎重。どの程度のスピードで出口に向かうのか」(大手銀行)との問題意識も強い。各国中銀の金融緩和による過剰流動性の存在はキャリー・トレードの基本的な条件だが、一方でドルを売って豪ドルやユーロを買う前提には、金利差に収れんする金融政策スタンスの差も必要だ。
「ECBなどが出口を探っていることを材料にキャリー・トレードを進めるのか、出口へのスピードが緩やかなことを重要視するのか。週末のイベントをこなしてから考えることになるが、来週からはキャリー再開になる可能性もある」(大手銀行)との声が出ている。
(ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)