中国のドル調達金利が急上昇、背景に人民元先高観測
2009年11月6日(金)14時41分配信 ロイター
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[上海 5日 ロイター] 中国の外国為替市場で人民元の上昇観測が再燃し、ドル不足に拍車が掛かっている。期間6カ月のドル調達金利は2カ月間で3倍に急上昇し、人民元の安定を維持しようとしている中国政府の通貨政策へも影響を与えそうだ。
中国の銀行はドルの価値低落への懸念から、過去2カ月間、中央銀行である中国人民銀行への余剰ドル売却を積極的に進めている。その一方で銀行の顧客である企業は、人民元上昇への思惑や裁定取引のため、人民元購入に向けたドル資金の借り入れに傾斜を強めている。
人民元の先高観測がすぐに下火になるとは考えにくいことから、中国のドル調達コストは今後も上昇基調を維持する見込みで、手が届かないほどの高水準に達し、銀行の外為業務や貿易、投資といった目的での企業によるドル調達までも危険にさらすリスクがあると市場関係者は指摘する。
深センの商業銀行のディーラーは「市場でのドル不足が深刻だ」と述べ、「銀行がドルを手元に置きたがらず、一部の顧客は裁定取引を行うためドル資金を借りており、状況は今後数カ月間に悪化する可能性が高い」との見方を示した。
中国の輸出産業を世界的金融危機による混乱から守る目的もあり、中国人民銀行は2008年7月から人民元の対ドル相場を事実上固定し、1日の許容変動幅を基準値の上下0.5%に設定している。
市場の予想とはうらはらに、人民銀行はこの政策を早期に転換し、05年7月から08年7月まで続いた人民元の着実なペースでの上昇を再開させる気配は見せていない。
しかし、金融危機の最悪期は過ぎた可能性が高い現在、中国経済は主要貿易相手国よりも速いピッチで回復しており、欧米の政策担当者は中国政府に対し、貿易不均衡是正のため人民元の上昇を容認するようあらためて呼び掛けている。
<市場の動揺>
このところ、人民元にかかるさまざまな上昇圧力によって市場にボラティリティーと不透明感が生じていたが、中国外為市場でのドル調達コスト上昇で、その圧力がさらに若干増している。
上海のCFETS(中国外為交易中心)で5日、指標となる6カ月物のドル貸出金利は、ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)6カ月物を122ベーシスポイント上回った。9月1日には5bp下回っていた。
年率では1.79%となり、9月1日の0.68%から急上昇したことになる。
6カ月物のドル貸出金利は10月20日に1年ぶり高水準の2.30%に上昇した。同日のオフショアのノン・デリバラブル・フォワード(NDF)市場は、1年間で4.55%の人民元高を織り込む水準となった。
CFETSで取引している欧州系銀行のディーラーは「ドル調達コストが人民元先高観測の直近の被害者だ」と指摘。「コスト上昇が、ついには中国政府に人民元上昇再開の容認を促す新たな圧力となる可能性がある」と話した。
外貨保有に関する中国の厳しい規制で投機が制限されていることもあり、6カ月物のドル調達コストは、同期間の人民元貸出金利である4.86%はなお大きく下回っている。
銀行には余剰ドル資金の人民銀行への売却が義務付けられており、監督当局者設定した額以上のドルを借りることはできず、スポット市場でドルの売り持ちもできない。
しかしドル資金調達コストは時折、通常のビジネスに悪影響を与える水準に急上昇している。08年3月には6カ月物が年率14%に上昇して人民元の指標金利を7%ポイント上回り、企業のドル資金調達ラインを事実上断ち切っている。
ディーラーによると、特に海外での一連の企業買収で中国の銀行や企業のドル資金ニーズが高まっているため、調達金利がそうした水準に戻るようなことがあれば、人民銀行に行動を促すことになる。
中国は2兆2700億ドルに上る膨大な外貨準備を保有していることから、人民銀行は市場にドルを供給することで調達コストの低減が可能。しかし、市場の観測の強さを考えれば、元の先高観をさらに強めるだけの結果に終わりかねないという。
(ロイターニュース 記事執筆:Lu Jianxin、Edmund Klamann 翻訳:関 佐喜子)