市場にファイナンスの季節到来か、織り込み度次第で株価反転も
2009年11月6日(金)14時22分配信 ロイター
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[東京 6日 ロイター] マーケットにファイナンス懸念が再び強くなっている。市場環境が落ち着いている間に資金を調達したい企業と、手数料稼ぎをねらう証券会社の思惑が一致しており、市場では来週以降も公募増資が続くとの見方が多い。
需給悪化につながる増資は一般的には株価の圧迫要因であり、相場の重しとなる可能性が大きいが、銀行株など株価への織り込みが進んでいるセクターは増資発表後に悪材料出尽くしとして買い戻されるとの期待も出ている。
<発行体と引受側の思惑一致>
増資ラッシュが続く可能性が高いとみられているのは、発行体である企業と、引き受け側である証券会社の思惑が一致しているためだ。「金融混乱の記憶が生々しい企業の財務担当者は資金を取れるときに取っておきたいという思いに駆られている。一方、自由化の影響もあってセカンダリー市場で小数点以下しか手数料が上がらない証券会社にとっては依然4%程度の手数料が確保できるプライマリービジネスは魅力的だ。それほど資金調達の必要性がない企業も増資を行う可能性がある」(準大手証券)という。
セカンダリー市場の日本株には見向きもしない個人投資家も、公募株には興味を引かれる傾向があり、10月の野村ホールディングス<8604.T>の今年2回目の公募増資には10倍近い申し込みがあったという。みずほ証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「東証1部売買代金が1兆円強と薄商いが続くなかでは、資金がさらに吸収されるというよりも、新規のマネーを株式市場に呼び込むきっかけになるとの見方もできる」と指摘している。
<悪材料出尽くしとなったNEC>
需給悪化につながる増資は通常、株価の圧迫要因だ。5日に1200億円を上限とする普通株の発行登録を行ったと発表したT&Dホールディングス<8795.T>は希薄化懸念が先行、6日前場で8.44%安と売り込まれた。
だが公募増資などで最大1340億円の資本増強を実施すると6日発表したNEC<6701.T>は8.77%高と逆に上昇した。
反応の違いは増資に対する株価の織り込み度の差によるとみられている。NECはこれまで増資の可能性が大きいとして10月中旬以降、株価は下落基調にあった。一方、T&Dは安値水準ながらももみあい。「生保は増資の必要性は銀行などと比べ低いとみられてきただけにT&Dの新株発行登録はネガティブサプライズだった。一方、NECは、これまで増資リスクが懸念され売られてきただけに、発表でいったん悪材料出尽くし感から買い戻しが先行した」(準大手証券トレーダー)という。
増資懸念は日本株を圧迫してきた要因のひとつ。「モラトリアム発言や円高容認発言は時間を経て現実的な着地点に落ち着いた。一方、企業の大型増資は今後増加する可能性が大きく、日本株の最大の重しとなっている」(国内投信ポートフォリオマネージャー)という。
だがNECのように、増資リスクが株価に十分織り込まれた銘柄の場合は、短期的に買い戻しが入る可能性もあるとみられている。
増資懸念で売り込まれてきた代表的なセクターは銀行株であり、6日の市場でもさえない動きになっているが、「株価水準はかなり低く、増資が実際に発表されればNEC同様に悪材料出尽くしとして買い戻しが入る可能性がある」(立花証券・執行役員の平野憲一氏)との期待も出始めている。
(ロイター日本語ニュース 伊賀 大記)