FRBが緩和策解除の条件示唆、利上げ遠のいた可能性
2009年11月6日(金)15時23分配信 ロイター
11月5日、FRBが緩和策解除の条件示唆か。写真はワシントンのFRB本部。2008年9月撮影(2009年 ロイター/Jim YOUNG) [ 拡大 ]
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[ニューヨーク 5日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、異例の金融緩和策を解除するための条件とも受け止められる項目を明示した。これにより低金利が長期にわたり継続される可能性は、さらに高まったようだ。
FRBは声明で、事実上のゼロ金利政策を継続する経済状況として、1)低水準の資源利用(low rates of resource utilization)、2)抑制されたインフレ基調(subdued inflation trends)、3)安定的なインフレ期待(stable inflation expectations)を挙げた。
前回の声明に盛り込まれていなかったこれらの項目を、FRBは今後注視していく可能性が高い。さらに、こうした道標は、FRBが景気回復支援と物価安定確保という2点のバランスを取りながら政策運営をしていく必要があることを示している。
緊急時の支援策をいつ、どれだけ積極的に解除するかについて当局者の間では、特にここ数週間意見の相違がみられるが、声明に明記された項目は、景気支援を優勢する向きとインフレ高進を懸念する向き両方に、解釈の余地を与えているようだ。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト、アンドリュー・ティルトン氏は、今回の変更には解釈の余地があると指摘。「(声明で示された)3分野の水準が非常に低いと認識している委員会メンバーにとっては、声明は低金利維持に向けた強いコミットのようだが、一方で、かなり違う受け止め方もある」との見方を示した。
FRBはこうした道標を示すことで、政策決定の透明性を高めることができるほか、インフレを注視しているという姿勢を市場に確信させることが可能。
一方アナリストは、声明発表後まもなく、利上げ時期の予想でどの指標に注目するかについて、その考えを顧客向けノートで伝えた。
<不完全な基準>
FRB内で依然、経済の弱さを懸念している向きは、経済の実質的な生産と潜在的な生産の差である「需給ギャップ」に注目し、失業率や設備稼働率の数字に特に注視している。一方、FRBによる緊急流動性が、景気が依然弱い状態でインフレ高進を招くことを懸念する向きは、インフレ関連指標を注視している。
9月の失業率は26年ぶり高水準となる9.8%を記録、6日に発表される10月の雇用統計では失業率がさらに上昇すると予想されている。
労働省は10月30日、第3・四半期の賃金の伸びが前年比1.5%上昇となり、調査を開始した1982年以来最小の伸びとなったと発表した。
上昇基調にある設備稼働率は、9月には70.5%を記録したが、依然長期の平均水準を10%ポイント以上下回っている。
FRBがインフレの目安としている食品とエネルギーを除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数は、9月に前年比で1.3%上昇し、大半のFRB当局者が適切とみる2%水準を下回っている。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のエコノミスト、ステファン・スタンリー氏は、声明で示された道標により、FRBは低金利政策を長期間維持する方針を、いっそう「明確な条件付でコミットした」と指摘。「逆に言えば、条件はほとんど満たされておらず、ある意味声明は一段とハト派的といえる」との見方を示した。
<インフレ期待は市場への挑戦か>
インフレ期待は、一度抑制がきかなくなると「道標」を満たすことになりかねない。
ロイター/ミシガン大学が算出した10月のインフレ期待指数は2.9%と、長期の平均である3.2%を下回っている。一方、FRBのデータによると、物価連動国債(TIPS)と5年国債のイールドスプレッドは11月2日時点で2.98%となり、長期平均の2.6%を上回っている。
スタンリー氏は「(3番目の)インフレ期待は、有効な制約になる」と指摘。「(インフレ期待を提示することで)FRBはある意味、市場に挑戦状を投げつけた。われわれが間違っており、インフレが上向いていることを証明しろと言っているようだ」と述べた。
アナリストの間では、ドルの価値や金などの商品価格が、インフレ期待に影響を与えるとの見方もある。ただ、これらの価格がインフレにどの程度関連しているかは不明なほか、今までFRBの政策決定でさほど重要視されていない。しかし、住宅バブルの記憶がまだ新しく、米国外での資産バブルに対する警戒が高まるなか、資産価格動向は政策決定で大きな要素になる可能性がある。
(Kristina Cooke記者;翻訳 伊藤恭子;編集 村山圭一郎)
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