『副王家の一族』の監督が明かす、映画完成までの15年の道のり
2009年11月5日(木)10時59分配信 ぴあ
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多くの監督やプロデューサーが映画化を望みつつも実現できなかったその理由は、巨額の製作費が必要なこと、イタリアらしくない作品──家族、教会、文化、政治に対してネガティブであることだったというが、ファエンツァ監督は違った。「50年もの間、撮りたいという人がいたのに撮れなかったなんておかしいじゃないか! と思い、プロデューサーとともに映画化に踏み切りました。結局15年もかかってしまいましたけれどね」と笑う。
舞台はイタリアへの統一を目前に控えた19世紀半ばのシチリア・カターニャ。王朝を後ろ盾とし、貴族として栄華を誇るウゼタ家の栄華と悲哀をつづった一大叙事詩であり、権力を求めた父、自由を求めた息子、愛を求めた娘たちの葛藤する姿が描かれる。そこには「現代にも通じるテーマがいくつも潜んでいる」と監督。「イタリアはあるサイクルが同じように繰り返されている、額縁があってそこから逃れられないような国なんです。小説が書かれたのは150年前ですが、当時と同じようなことが現在も起こっています」。そして、監督の言う「歴史の繰り返し」「原作が現代的であること」を証明するかのように、本国での公開時には予想もしなかった大論争が起きた。「右翼からも左翼からも攻撃を受けたんです。セリフはすべて原作の小説から引用していて、決して今の政治家を批判する気はなかった。けれど、多くの政治家はそれが自分たちへの批判だと思ってしまったんです」。
また、一番の挑戦は当時の豊かさを表現することだった。「当時のカターニャ(シチリア人)はとても裕福でした。例えば、シャツのアイロンをかけるのにわざわざロンドンに送ったりしていた。それくらいお金が有り余っていたんです。その豊かさを再現することが難しくて。ただ、あの屋敷は実際に原作のモデルとなった貴族が住んでいた家で、そのまま残っていたのでそこを使うことができましたし、シチリアのカターニャという街は19世紀のころからほとんど変わっていないので、ロケーションの苦労はありませんでした」と振り返る。そして、監督がこだわった壮麗な衣装の数々は実力派俳優たちが身に着けることで輝きを増し、2008年のイタリア・アカデミー賞(ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞)で美術賞、衣装賞、ヘアメイク賞、メイクアップ賞の4部門に輝いた。
『副王家の一族』
11月7日(土) Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー
取材・文・撮影/新谷里映