関わった男性6人が次々に不審な死を遂げている東京都豊島区の無職女(34)は、結婚詐欺で総額1億円にものぼる金を男たちからだまし取り、セレブ願望を満たすとともに、妄想も肥大化させていった。女のブログには、金を得ても満たされない妄想の数々が事細かに書きつづられていた。
女は高校の卒業文集で嫌いなものとして「貧乏」を上げ、知人には「叶姉妹」への憧れなどを公言していた。そのセレブ願望を実現する手段として選んだのが結婚詐欺。だまし取った金でベンツを購入。高級店の食べ歩きを重ね、高級マンションにも入居した。逮捕時、女の預金口座にはほとんど残高がなかったという。
いくら金をつぎ込んでも果てることのないセレブ願望と妄想は、ブログにもつづられていた。
女は元女優でファッションアドバイザー、君島十和子のカットも担当する東京・南青山の美容院に通っていたが、お目当ての美容師が退職する際には《好きならば、お別れがわかっているならば、頻繁に会いに行けば良いと思うかもしれませんが、なぜか私は行くことができなくて−》とメルヘンチックに告白。
また、《我が家は毎年クリスマスの日には家族全員で教会に行き、クリスマス礼拝が終わってから教会を会場に、一人一品手作りのご馳走を一品持ち寄るクリスマスパーティに参加するのが楽しみでした》などと育ちの良さを強調する書き込みも頻繁に行っていた。
結婚詐欺の一方、自身の結婚願望は強かったようで、《結婚して新たな家庭を築いた時に完成形となるよう、家族ができたらこうしよう、ああしようと想像(妄想)し、素敵な奥さんを夢見ております》と書いたり、《愛する家族のために食事の材料を買いに、広尾の明治屋さんに行ける生活をさせてくれる旦那様がいるってだけで幸せだものね。そういう王子様どこにいるのかしら?》と憧れを募らせていた。
この二面性は実生活でも顔を出すことがあったという。今年7月まで住んでいた東京都板橋区のマンション管理人は「契約の時に『父親は大学教授』と言っていたのに実際は大学職員だったり、ゴミ出しの不正を指摘したらとぼけたり。かと思えば、すごく丁寧な対応をしてみたり、とかなり裏がある印象。うそをつき慣れているという感じだった」と振り返る。
精神科医の日向野春総氏は「知性や富に劣等感を抱いており、主人公になりたがる変貌妄想が強いようだ。ブログはそうした自意識を埋めてくれるツールだったが、『私は特別だ』という意識が強すぎたため、妄想と現実の折り合いがつかなくなったのだろう。本人には、だましている意識はなかったが、(結婚サイトで20人以上と付き合うなど)無計画にターゲットを増やしすぎたために破綻した。詐欺の手口がパターン化しているのも知性の低さと計画性のなさを象徴している」と分析している。