歴代内閣が使途を公開せずに使ってきた官房機密費(報償費)をめぐり、鳩山政権の言動が二転三転している。就任当初、存在自体を否定していた平野博文官房長官が一転して存在を認めたうえで、使途や金額の非公開を表明。一方、鳩山由紀夫首相は存在自体、「存じない」と強弁したのだ。民主党は野党時代、機密費の使途などの公開を要求しており、過去の言動が手足を縛る“ブーメラン現象”に陥ってる。
「官房機密費? そんなのあるんですか。全く承知していない」。就任当初の9月17日、平野官房長官はこううそぶいていた。ところが、5日の記者会見ではあっさり存在を認めたうえで、使途や金額に関して「オープンにしていくことは考えていない」と非公開を宣言した。
鳩山首相にいたっては5日夜、「官房機密費があるのかどうかも存じていない」とシラを切るも、「官房長官から『任せてほしい』と言われているので、一切この問題には触れないようにしたい」と強調。一方で「国民にすべてをオープンにすべき筋合いのものとは必ずしも思っていない」と非公開を追認した。
官房機密費をめぐって民主党は2001年、使途を公開するよう、官房機密費流用防止法案を国会に提出。当時、党代表をしていた鳩山首相は、党首討論で「10年、20年後に必ず公開する」と訴えており、「政権交代後の言動と比較して、その落差に驚くばかりだ」(自民中堅)。
実際、官房機密費に限らず、政権交代を境に鳩山首相の言動の食い違いは鮮明になるばかり。
2007年、小林温参院議員の秘書が公職選挙法違反容疑で逮捕され、小林氏が議員辞職したことについて、党幹事長だった鳩山氏は「辞任は当然。むしろ出納責任者が逮捕された段階でお辞めになるべきだった」とキッパリ。ところが、先の総選挙に絡んで出納責任者だった選対幹部が公選法違反容疑で逮捕された民主党の小林千代美氏(北海道5区)に関しては、ダンマリを決め込んでいる。
永田町事情通は「ブーメランのように過去の言動に縛られている。矛盾点を突かれると、いずれ立ち往生する可能性が高い」と話している。