将棋界最大のイベント「将棋の日」(日本将棋連盟など主催)が7、8の両日、関西では約20年ぶりに兵庫県加古川市で開かれる。久保利明棋王ら同連盟所属の棋士4人を輩出し「棋士のまち」を掲げる同市が誘致、県内初開催にこぎつけた。全国から大勢のファンが集まる見込みで、市制60周年の来年はタイトル戦開催という“次の一手”も用意。将棋での町おこしの機運が盛り上がっている。
イベントは、ファンとの交流を図って毎年11月17日の「将棋の日」前後に開かれ、今年で35回目。5年に1度は将棋駒の生産で有名な山形県天童市で、ほかの年は各地で開かれ、関西では平成元年の堺市以来となる。
今年は羽生善治棋聖(四冠)や棋士会会長の谷川浩司九段、矢内理絵子女王ら14人が参加。7日の羽生四冠Vs久保棋王の公開対局観戦には、会場となる市民会館の収容可能人員の1・5倍にあたる2139人の応募が殺到した。棋力別のトーナメント対局にも、定員の倍近い308人が申し込む人気ぶりだ。
市などで構成する実行委員会は、全国から集まる将棋ファンに加古川をアピールしようと、特産品の靴下に連盟のマスコットキャラクター「Shoちゃん」をプリントして販売したり、ご当地B級グルメの「かつめし」でもてなしたりする計画という。
さらに今年限りのイベントで終わらせるのはもったいないとばかりに、欲張りな構想も浮上。市制60周年の来年に、七大タイトルの一つ「竜王戦」を誘致することが内定した。
同市は人口27万人足らずだが、同連盟所属棋士(261人)のうち久保棋王、井上慶太八段、神吉宏充六段、稲葉陽四段の4人を輩出している。「将棋のまち」ではなく「棋士のまち」を掲げた町おこしに力を入れ、5月には4人を市の観光大使に任命した。
その土地柄について、今春タイトルを獲得した久保棋王は「公園や神社の境内で縁台将棋を指す光景が今でも見られる。そんな土壌があったから、これだけ多くのプロ棋士が生まれたのでは」と分析する。
現在も市内に住む井上八段は、週末には自らが代表を務める道場で子供たちの指導に当たるなど各棋士も普及に熱心で、地元と一体となっての町おこしに市民の期待も広がっている。