診療報酬を不正受給していた旧花園病院(大阪府東大阪市、昨年廃院)の元院長が、奈良市内の不動産を親族に売却した後、無資産を理由に不正受給分の返還を求める自治体の請求に応じていないことが7日、分かった。八尾市は売却が差し押さえを逃れるための「資産隠し」と判断して大阪地裁に提訴。一方、元院長の弁護士は産経新聞の取材に対し、「適正な価格で売買は行われている。売却益は旧病院職員の退職金などに充てられ、市に返済するまでの金がなかった」と主張、全面的に争う姿勢をみせている。
旧花園病院は看護師数や勤務時間を水増しし、平成19年1〜9月までに患者1336人分の診療報酬計約8300万円を不正受給したとして、大阪社会保険事務局が昨年5月に保険医療機関指定を取り消した。同病院は同年9月29日付で廃院を届け出ている。
患者数が東大阪市に次いで多かった八尾市は、元院長に対し、国保会計などから支出された不正受給分約3800万円の返還を求めている。昨年6〜9月にかけ、関係部署には支払いに応じる同意書が届いたが今年3月、「病院を廃院し、高齢で資産もない」との理由で、支払いに応じられないことを伝える文書が届いた。
市が元院長の資産を調べたところ、昨年7月、奈良市学園中にある元院長名義の土地計約700平方メートルが、2人の子供に売却されていた。元院長の弁護士の説明では、売却額は約6千万円で、旧病院職員の退職金や、取引業者への債務返済に充てられ、法的に問題はないという。
市債権管理課は路線価や周辺土地の取引価格から、売却された土地は6千万円を上回ると見積もった。元院長はこの土地に建つ自宅に現在も住んでおり、市は差し押さえを免れる目的の「資産隠し」と判断。元院長らを相手取り、売却の取り消しと不正受給分の返還を求め、大阪地裁に今年8月、提訴した。
一方、元院長の弁護士は「売買や価格も適正」と主張。土地取引で金を用立てたことについては「子供から金を借りても、元院長は高齢で返済する力がない。売買をきっちりして、お金を払ってもらった」と不正を否定している。