新型インフルエンザが猛威をふるう中、乳幼児が同じくらい注意しなければならない病がある。「RSウイルス感染症」だ。発熱やせきといった症状は風邪と似ているが、乳児がかかると呼吸困難など重症化する危険がある。一方で、多くの母親が「(病名を)知らない」という調査結果も。専門家は「正しい知識を持って予防を徹底して」と注意を呼びかけている。(中島幸恵)
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◆重症化の危険も
「RSウイルス感染症は、2歳までにほとんどの乳児が感染する。感染すると多くの場合、発熱や鼻水、せき程度で済む。ただ、早産で生まれたり、呼吸器や心臓に持病がある乳児は重症化すると、気管支炎や肺炎を起こす危険性もある」。こう話すのは、福島県立医科大学の細矢光亮教授(小児感染症学)。
早産児は早く生まれてきた分、母親から受け取る抗体が少ない。また、呼吸器の機能や免疫機能が未発達でもある。そのため、RSウイルスを発症すると、重症化する可能性が高いという。
国立感染症研究所のまとめによると、RSウイルス感染症の報告件数は、10月第2週で500件以上に上り、増加傾向。例年4月ごろまで流行し、ピークは12〜1月と予測される。
現在、実用化されたワクチンや抗ウイルス薬はない。治療は点滴での水分補給や気管支拡張剤の投与などにとどまるという。
ウイルスは体外に出ても6時間程度、感染力が持続する。大人が風邪をひいて、はなをかんだ後、無意識に手で触れた物などを介して、乳児が感染する。家族全員の注意が必要だ。
対策として、細矢教授は▽帰宅時および食前によく手を洗い、うがいをする▽家族が風邪をひいたら、マスクの着用▽乳児の周りの物はアルコールなどでこまめに殺菌する▽冬の時期は人込みに連れ出さない−と呼びかける。
◆3割しか知らない
そもそも、RSウイルスを知らない人が多い。
東京女子医科大学の楠田聡教授(周産期医学)は、2歳未満の子供を持つ母親約1万人にネット上でアンケートを実施。それによると、RSウイルスを「知っている」と答えた人は全体の3割にとどまった。
楠田教授は「まずは多くの母親たちが病名を知って、予防対策に積極的に取り組んでいくことが大切。早産児の出生率が上昇している中で、認知を高めていくことが急がれる」と話している。
医薬品大手「アボットジャパン」(東京都港区)では、サイト(http://rsvinfo.net/)でRSウイルスの情報を提供している。
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【用語解説】RSウイルス
Respiratory Syncytial(呼吸器合胞体)virus。風邪の原因となる一般的なウイルスの一種。2歳までにほとんどの乳児が感染するとみられる。何度も発症するものの、2歳以上では鼻風邪程度で済むことが多い。乳児の場合、炎症が下気道に進み、重症な気管支炎や肺炎などを患う。最悪の場合、死亡することもある。乳児はインフルエンザよりRSウイルスに感染する率が高いため、積極な予防策を取ることが求められる。