「隣人の顔を知らない」など、コミュニティーの疎遠さが指摘されるマンション暮らし。それを解消しようと、住民参加のクラブ活動などコミュニケーションの場を設ける動きが広がっている。(津川綾子)
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◆「ペタンク」「節約術」
千葉県柏市の「柏の葉キャンパス」。広大なゴルフ場跡を開発した住宅地で、駅前に高層マンションが数棟建つ。
977戸あるマンションの入居は昨年3月に開始。建設した三井不動産レジデンシャル(東京)は「30代の夫婦と子供1人、奥さんは専業主婦といった世帯が目立つ。最初は友達もいないし、ご近所づくりのきっかけに」(三井不動産の広報)とNPO法人に委託し、地域住民参加のクラブ活動を用意した。その名も「まちのクラブ活動」。金属球をほうるスポーツ「ペタンク」や、「節約術」など18のクラブ活動がある。
ある晴れた日の午前中、マンションの近くにある交流施設に「柏の葉エコクラブ」の部員が集まった。近隣の戸建ての住民も参加し、節電のコツを話し合った。子連れの主婦に交じって参加した男性(58)は「部活がなければ話す機会もなかったかも」。昨年11月に引っ越してきた瀬川未来さん(32)も「部活に参加するまでは家にこもりがちだった。私が骨折したら仲間が助けてくれた。部活があってよかった」。
◆交流できる土壌
こうしたマンション住民のコミュニティー作りは各社とも注目し始めている。
野村不動産(東京)は平成19年から、入居約3カ月前の説明会時にパーティーを催し、住民が自己紹介カードを交換しながらゲームを楽しむ。コスモスイニシア(東京)も入居後間もないタイミングで懇親会を催す。住宅サイト「SUUMO(スーモ)」の西村里香編集長は「豪華な設備は大規模物件では珍しくない。マンション購入の主役であるポスト団塊ジュニア世代は、人のつながりを重視する傾向がある。各社は楽しく暮らせるソフトを用意し、差別化を狙っているのでは」と見る。
良好な住民関係はデベロッパーにとっても「街の魅力になり、事業上のメリットにもなる」(三井不動産の広報)という。一方、他人同士が区分所有するマンションだからこそ「交流し話し合える土壌が大切」との指摘もある。
住環境サービス会社「ディグアウト」(東京)は、居住者限定のコミュニティーサイト「コラボ」を首都圏など110のマンションに導入。いつでも見られるネット上の回覧板のように、住民に管理組合の理事会の議事録やイベント開催を知らせる。ペットの飼育ルール作りなど1人の住民の小さな声を「コラボ」に書き込めば、理事会の議論にもつなげることができる。
埼玉県川口市では昨年、市内の約50のマンションの住民らが「川口市マンションコミュニティ連絡協議会」を発足。「人が集まって住めば問題は必ず起こる。住民が話し合える土壌を作っておくことが必要。その気運を作りたい」と、同協議会の吉澤康博さんは話す。
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■3割が「地域のつながり弱くなった原因」
マンションはこれまで、「コミュニティー希薄化」の象徴のように見られてきた。
内閣府が全国の15歳以上80歳未満の男女に実施した「国民生活選好度調査」(平成18年度)で、「地域のつながりが弱くなった理由」(複数回答)として、4番目に「集合住宅が普及してきたので」(回答者1042人の31・2%が選択)が上った。マンション内のコミュニティー形成は、こうした「負」のイメージの脱却にもつながりそうだ。トップは「人々の地域に対する親近感の希薄化」(55・3%)だった。