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衝突事故2日前「くらま」艦橋 海峡通過 緊迫「汽笛鳴らせ」

2009年10月29日(木)8時0分配信 産経新聞

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 27日夜、関門海峡で韓国籍の貨物船と衝突事故に起こした護衛艦「くらま」(基準排水量5200トン)は、事故2日前の25日、自衛隊観艦式で、外遊中の鳩山由紀夫首相の代理として菅直人副総理の座乗を受ける栄誉に授かったばかりだった。狭い海峡では大型船は針に糸を通すような操舵技術を求められる。観艦式で同乗した本社記者は乗員の緊迫したやりとりを目の当たりにしていた。

 観艦式でくらまは東京湾−相模湾間を約7時間かけて航行した。台風20号の影響で波は高く視界も悪い。もっとも乗員が緊張したのは東京湾の出入り口にあたる浦賀水道にさしかかったところだった。

 「あの漁船は止まるか」

 「まだ動いてます。近づいてきます」

 「なぜだ。汽笛を鳴らせ!」

 狭い艦橋(操舵室)では柏原正俊艦長の指揮下、航海責任者である当直士官や操舵員ら約10人の緊迫したやりとりが続いた。

 浦賀水道は一番狭い場所(富津−観音崎)で幅約6・5キロ、実際に船が航行する水路は1・4キロとさらに狭いにもかかわらず、1日平均700隻の船舶が航行する世界有数の難所だ。

 25日も悪天候にもかかわらず漁船が縦横無尽に行き交った。右から小型漁船が速度を緩めずに近づいてきたかと思えば、今度は左から別の漁船が迫ってくる。同時にすぐ近くを大型コンテナ船がすれちがう。乗員らは双眼鏡やレーダーを駆使しながら、片時も休むことはなかった。

 コンテナ船などで10年以上の船長歴を持つ社団法人「日本船長協会」の小島茂・技術顧問(62)は、狭い海峡での航行について「狭い航路ほど潮の流れが速い。少し舵を切っただけで船体が流される難しさがある。特に浦賀水道や関門海峡は交通量が多く、速度の加減と舵の切り方の兼ね合いが難しく緊張の連続となる」と説明する。

 加えてくらまのような大型船は、速度を上げれば停止や旋回などの回避行動をとりにくくなる。逆に速度を下げすぎると舵が効きにくくなり、操舵には微妙な加減が要求されるという。

 関門海峡は幅約600メートルで浦賀水道よりさらに狭い。柏原艦長は自衛官乗員服務規則に基づく「航海保安」を発動し、総員で細心を払って運航していたというが、コンテナ船との衝突は回避できなかった。優雅に行き交うように見える船舶だが、乗員には緊張の連続なのだ。(酒井充)








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