平成22年度の税制改正を議論する政府税制調査会(会長=藤井裕久財務相)で、高校生や大学生の子供がいる家庭を対象とした所得税の「特定扶養控除」見直しの動きが出ている。鳩山政権の目玉政策でもある公立高校の実質無償化との兼ね合いから検討課題として急浮上。不況による税収不足も表面化する中、主要政策の財源を確保したいという事情も透けてみえる。各種控除見直しを含む所得課税改革の議論は、事実上の増税につながる。
≪縮小がテーマ≫
「まったく手をつけずに残すのがいいのか。議論したい」。27日の政府税調後の会見で、古本伸一郎財務政務官は特定扶養控除を今後の税調議論のテーマとしていく考えを示した。
特定扶養控除は16〜22歳の子供がいる世帯の教育費負担を軽減するため、課税所得を一定額差し引く仕組み。現行の控除額は所得税で一律63万円、住民税は同45万円。
「子ども手当」(中学卒業まで)が支給されない世帯が対象で、民主党は見直し対象外としてきた。しかし、来年度から実施する公立高校の実質無償化と同様の政策目的を持つこともあり、議論の余地があると判断した。古本政務官は「(同控除の)排除はしない」とし、全廃でなく縮小する考え。例えば控除額を38万円に縮小すれば、高校生の子供2人がいる収入700万円の家庭では、所得税分だけで年間約8万円の負担増になる。
≪政権の火種に?≫
税制改革で「控除から手当への転換」を掲げる鳩山政権。来年度から子ども手当の支給が始まるのに伴い、所得税の扶養控除と配偶者控除の廃止方針も打ち出している。特に扶養控除廃止は「子ども手当の導入と同時期が望ましい」(峰崎直樹財務副大臣)として、配偶者控除より先行して来年度からの実施を目指す。
所得控除の廃止・縮小などは、落ち込んだ税収を穴埋めする意味合いもある。扶養控除と特定扶養控除を単純に全廃しただけで、それぞれ8千億円と5千億円の増税効果がある。
税調は、サラリーマンの必要経費を差し引いて課税する「給与所得控除」にも上限を設けるか検討する方針。だが、各種控除の見直しは大学生を抱える家庭などには増税色が強まり、不公平感も高まりかねない。
鳩山政権が拙速な対応に走れば、思わぬ「火種」になる可能性もある。