日本航空の再建では、公的機関の「企業再生支援機構」を活用するのか、私的整理の一種である「事業再生ADR」(裁判外紛争解決手続き)を活用するのかで調整が難航した。最終的に政府の管理下で再建を進めやすい支援機構の活用に落ち着いたが、最大のメリットは日航に債権を持つ金融機関の利害調整を短期間で進められる点にある。
支援機構は1兆6千億円の公的資金枠を持ち、対象企業に政府保証のついた出資や融資を実施、金融機関からの債権買い取りを行うほか、経営陣を派遣し再建を主導する。仕組みはダイエーやカネボウを再建し、平成19年に解散した産業再生機構とほぼ同じだ。
ただ再生機構が大手銀行の不良債権処理を目的としたのに対し、支援機構は産業構造の改革や地域経済の立て直しが目的。当初想定した中小企業だけでなく、大企業も対象にしている。
一方、事業再生ADRは、経済産業省が認定した第三者機関「事業再生実務家協会」が企業と金融機関の調整役となり、再建をまとめる制度。19年の産業活力再生特別措置法の改正で創設され、最近になって消費者金融大手のアイフルやPHS大手のウィルコムが相次いで活用を表明した。
ADRは、民事再生法などの法的整理に比べ手続きが短期間で済むが、金融機関が一つでも反対すれば実現しない。また公的資金を活用する日航再建では、日本政策投資銀行による危機対応出資などの手法を組み合わせる必要もあった。
こうした問題を一度に解決できるのが支援機構だ。「機構による再建は法的整理と私的整理の中間に当たる強制力を持つ」とされ、金融機関の利害調整を短期間に進める効果が期待できる。また公的資金を活用する出資で株式の過半数以上を握り、日航を事実上、政府の管理下に置き、関係省庁による「対策本部」の直轄で、再建が進められる。