日本経済の牽引(けんいん)役である大手製造業の業績が急速に回復している。特に7〜9月期の回復が顕著となっており、本業のもうけを示す営業損益では、29日までに21年9月中間連結決算を発表した鉄鋼、電機、自動車の大手企業12社すべてが4〜6月期に比べて改善した。アジア向け輸出が回復してきているほか、エコポイント制度やエコカー減税などの政府の景気刺激策の効果も出ており、大手企業の業績は底入れが鮮明となった。
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■鉄鋼
鉄鋼大手4社の平成21年9月中間連結決算が29日、出そろった。昨年秋以降の景気悪化に伴う需要の低迷が続き、全社とも本業のもうけを示す営業損益、最終損益が赤字に陥った。ただ7〜9月期に限ると、いずれも4〜6月期から業績が改善しており、復調傾向が鮮明になっている。
新日鉄の9月中間の営業損益は714億円の赤字(前年同期は2484億円の黒字)、最終損益も718億円の赤字(同1616億円の黒字)だった。一方、7〜9月期をみると、営業、最終損益とも赤字幅がそれぞれ4〜6月期の534億円から180億円、422億円から295億円に縮小した。
中国などアジア向け輸出が伸びたほか、自動車向け需要が上向いたことが主因で、粗鋼生産量も4〜6月期の482万トンから7〜9月期は673万トンまで回復。このため、8月には休止していた大分製鉄所の第1高炉を再稼働した。
ただ、生産量は依然、前年同期を約2割下回る低水準で、谷口進一副社長は同日の会見で「回復してきているが、まだ途上にある」との見方を示した。
住友金属は営業損益が4〜6月期の345億円の赤字から7〜9月期に63億円の黒字に転換。神戸製鋼は営業、最終損益とも赤字幅が改善した。JFEも4〜6月期の営業損益が612億円の赤字、最終損益が415億円の赤字だったのに対し、7〜9月期はそれぞれ202億円の黒字と128億円の黒字に回復しており、業績の底打ち感が浮き彫りとなっている。
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■自動車
自動車メーカーも、アジアをはじめとする新興国での販売好調や、日本のエコカー減税をはじめとする世界各国の購入支援策の影響で販売が伸び、業績が好転しつつある。
ホンダは7〜9月期の連結営業利益が655億円となり、4〜6月期に比べて黒字幅が400億円以上、増加した。10月〜22年3月期も日本やアジアの販売が拡大するとみており、22年3月期の見通しを当初予想から大幅に上方修正した。
マツダも海外での売れ筋車種の好調。4〜6月期に赤字だった連結営業損益は、7〜9月期は59億円の黒字に転換。通期の業績見通しも上方修正した。
三菱自動車は、7〜9月期の営業赤字が4〜6月期に比べて約270億円縮小した。アジアなどの販売好調が追い風となった。ただ、主力市場のロシアでの販売が低調なこともあり、業績見通しを据え置いた。
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■電機
大手電機メーカーの業績が回復しているのは、政府の省エネ家電の購入を後押しする「エコポイント制度」によって薄型テレビなどの家電販売が上向いたことに加え、デジタル家電に使われる半導体の需要が想定以上に回復したことが大きい。
平成21年3月期決算で製造業として過去最大の最終赤字となった日立製作所をはじめ、7〜9月期に各社とも軒並み本業のもうけを示す営業損益が黒字に転換した。シャープや、パナソニックが子会社化する予定の三洋電機の2社は9月中間期ベースでも営業黒字を確保した。
ただ、通期の決算については、年末商戦や年明けの景気動向を見極めたいとして上方修正までには至っていない。「まだ市況環境は厳しく、先行きも不透明。簡単に右肩上がりに数字が膨らむものではない」(シャープの浜野稔重副社長)と慎重な姿勢を示すメーカーが大半だ。