官民共同出資の企業再生支援機構の活用を申請した日本航空が来年6月までに国内外16路線の廃止を検討していることが2日、明らかになった。再建には不採算路線からの撤退が不可欠だが、対象となる地方空港や関西国際空港などからは猛反発が起きている。関空の地元・大阪府の橋下徹知事も同日、国土交通省を訪れ、同空港のハブ(拠点)化を求め、日航撤退を牽制(けんせい)した。日航再建に全面関与することになった政府は、路線維持という公共性と再建をどう両立するのか。早くも難題に直面している。
◇
「日本としてハブ空港を2つ造るべきだ。関空をハブにするため、伊丹空港の廃止を念頭に置き、これから大阪で議論していきたい」
橋下知事は2日、辻元清美国交副大臣との会合後、記者団にこう語り、伊丹廃止に踏み込み、関空のハブ化を訴えた。
前原誠司国交相が羽田空港の24時間ハブ空港化を打ち出したことで、関空の存在は大きく揺らいでいた。そこに追い打ちをかけるように日航が来年6月までに赤字に陥っている国内8路線、海外8路線の計16路線の廃止を週内にも最終決定する見通しであることが判明した。
関空の国際路線のほか、神戸空港の路線も対象に含まれており、両空港は大きな影響を受ける。
日航再建では、前原国交相直轄の専門家チーム「JAL再生タスクフォース」が国内外45路線の不採算路線の廃止を提案していた。専門家チームの解散で白紙に戻ったが、日航の経営を健全化させるには、同規模の路線廃止は避けられないとみられている。
地方空港への影響は関空以上に深刻だ。タスクフォースの案で対象となった松本空港(長野県)など、定期便の発着がなくなってしまう空港も出てくる。
タスクフォース案では長野県の村井仁知事がわざわざ日航本社を訪れ、存続を要請したが、今後、廃止路線が表面化するたびに、“陳情”が相次ぐのは確実だ。
前原国交相は先月31日、「飛行機が飛ばない空白の空港がない形にしたい」と述べ、支援策を検討する考えを示した。
ただ、かつてのように公益性を重視し、日航に路線継続を求めれば、再建はままならなくなる。撤退路線の選定は、国が民間企業の再建に全面的にかかわることの困難さを象徴している。