金銭的や時間的に子供の勉強にかける余裕がない一人親家庭の子供たちに、大学生の教育ボランティアを派遣する新たな試みが動き出す。早ければ年内にも開始される。きっかけは「貧困からくる学力格差をなくしたい」という母親の発案だった。
この試みは、子供向け学習イベントなどを手掛けるNPO法人「キッズドア」の「ガクボラ」。理事長で2児の母、渡辺由美子さん(45)が「一人親家庭は収入が低い傾向にあり、子供を塾に通わせる余裕がない。仕事や家事にも忙しく、子供の宿題やテストの間違いを見る余裕も少ない」と考え、思い付いた。
近く学生ボランティアを募集するが、既に東大や東京学芸大などの学生約10人が参加を表明。母子家庭を支援するNPO法人から派遣先家庭を募り、児童養護施設での教育支援や学童保育での体験活動も行う。具体的な内容は今後決めるが、大学生には報酬の代わりに就職活動の面接に役立つ自己プレゼンテーションのトレーニングなどを専門家の無償協力で提供する。
全国母子世帯等調査(平成18年度)によると、母子家庭の平均年収は213万円。お茶の水女子大の耳塚寛明教授の研究班が昨年度の全国学力調査の結果をもとに世帯年収と正答率の関係を調べたところ、世帯年収が低くなるほど正答率が低くなる傾向で、母子家庭を支援するNPO「ハンド・イン・ハンドの会」が3月に行った母子家庭の母親のアンケートでも、4人に1人が「塾・参考書などの進学準備が苦しい」とし、6人に1人が「希望通りの進学をさせてやれそうにない」と回答した。
渡辺さんは「親の経済力の差が学力格差につながり、不利な就職や貧困につながる連鎖を断ち切りたい」と訴える。参加予定の東京学芸大大学院の宗塚誠さん(23)は「支援する子供とじっくり話をして、どんな助けが必要なのかを知りたい」と話す。
キッズドアでは支援企業も募集する。問い合わせは事務局(電)03・5201・3899。(津川綾子)