日本ビクターとケンウッドを傘下に持つJVC・ケンウッド・ホールディングスが、サザンオールスターズやSMAPの所属する音楽ソフト子会社「ビクターエンタテインメント」の売却を検討していることが4日、分かった。売却先候補にはゲームソフト大手、コナミが挙がっており、11月中にも決まるとみられる。消費低迷やネット配信の拡大によるCD売り上げの減少で音楽ソフト市場は縮小傾向にあり、生き残りをかけた業界再編が加速しそうだ。
◆“聖域”にメス
ビクターエンタテインメントは昭和3年にビクターの音楽部門としてレコード生産を開始し、47年に分離した老舗の音楽会社。ユニバーサルミュージック、エイベックス・グループ・ホールディングス、ソニー・ミュージックエンタテインメントに次ぐ国内4位の位置にあり、赤字続きでも“文化”として聖域化されてきた経緯がある。
しかし、JVC・ケンウッドの業績不振は深刻さを増しており、平成22年3月期の最終損益は200億円(前期は187億円の赤字)となる見通しだ。国内外のテレビ事業の縮小や人員削減といったリストラでもカバーしきれず、経済合理性の面から「メスが入った」(関係者)格好だ。
JVC・ケンウッドは光学レンズ大手HOYAから「ペンタックス」ブランドで知られるデジタルカメラ事業を買収する方向で交渉を進めており、ビクターエンタテインメント株の売却益をあて、AV機器など中核事業の強化を目指す。
携帯電話向けの配信事業などを展開するコナミにとっては、音楽ソフト事業の買収を通じて、コンテンツ(情報の内容)の強化が期待できる。有名アーティストの楽曲を放送事業者に提供する音楽ライセンス事業に乗り出すことも可能となり、新たな収益源確保につなげるとみられる。
JVC・ケンウッドが音楽事業を手放すのは、CDやDVDなどの音楽ソフト市場の縮小が今後も避けられないことが大きい。
◆ネット配信主流
平成10年をピークに減少に転じた音楽ソフト市場の生産額は、20年に3617億円と10年連続で前年を下回った。購買の主役である若年層で、ネットを通じて携帯端末に楽曲を取り込む音楽配信が主流となったことが最大の要因だ。
高齢者層の支持で唯一堅調な演歌部門を除くと、ヒット曲の少ない音楽ソフト市場は“じり貧状態”で、業界関係者は「消費者の好みに応じて複数のジャンルを抱える大手レコード会社の経営ほど苦しい」と漏らす。
音楽業界では日本コロムビアが13年に米投資ファンド傘下に入ったほか、ソニーは昨年、独メディア大手との合弁会社BMGを完全子会社化した。非中核事業の見直しの一環として東芝が音楽ソフト事業から撤退して改称したEMIミュージック・ジャパン(旧東芝EMI)は、単独路線を余儀なくされている。
市場縮小に背中を押される形で、ユニバーサルやエイベックスのような上位陣も合従連衡を模索する可能性がありそうだ。