三洋電機の子会社化により、パナソニックは三洋が得意とする電池などのエネルギー事業を取り込み、創業100周年(平成30年)の目標である電機メーカー世界一に向けた布石としたい考えだ。ただ、子会社化の発表から実現まで約1年を要し、相乗効果の発揮に向けた協議はこれから。重複事業の解消を含むリストラも、焦点となる。
「三洋の太陽電池を当社の販売ルートに乗せれば生産効率を高められる可能性もある」。パナソニックの大坪文雄社長は10月30日の決算発表で、三洋子会社化のメリットを強調した。
太陽電池、充電池をはじめとした「グリーンエネルギー」の代表である電池事業こそ、パナソニックが期待を寄せる相乗効果のすべてといえる。電池事業については、1千億円規模の投資を行う予定だ。
三洋の強みは、世界最高の変換効率を誇る独自商品「HIT太陽電池」。パナソニックは、グループのパナソニック電工と結び付きの強い全国約6千以上の工務店の販売網活用を視野に、三洋の太陽電池を販売する。今月から太陽光発電の電力を買い取る制度が始まったことで国内の太陽電池需要は急増しており、グループの強力な販売網を生かしたい考えだ。
携帯電話など電子機器向けの需要が急増する充電池のリチウムイオン電池でも三洋はシェア世界一を誇る。パナソニックとの充電池シェアを単純合算すると約40%で、世界最大の電池メーカーとなる。自動車向けのリチウムイオン電池開発が相乗効果の鍵を握りそうだ。
ただ、この合算シェアの大きさがネックとなり、11カ国・地域で1月から始まった独占禁止法の事前審査が長期化した経緯もある。両社が事務手続きに要した費用は100億円とみられる。審査中、事業戦略案を協議できない制約もあり、TOB完了後に担当者を集めた会議を発足し、協議を急ぐ構えだ。
競争の激しい電池市場だけに、韓国や中国をはじめアジア勢の台頭も著しい。2008年度までの4年間で太陽電池の日本企業のシェアは約27ポイント低下。リチウムイオン電池も、08年度までの5年間で16ポイント低下している。
両社で重複する白物家電や半導体も三洋側の利益率が低く、「事業再編は避けられない」(パナソニック幹部)。コストと時間を消費した“出遅れ”を取り戻す猶予はあまりない。