政府が、鳩山政権発足に伴って大幅に縮小された全国学力テストの予算のさらなる削減を検討していることが分かった。予算の無駄を洗い出す行政刷新会議はすでに文部科学省から事前ヒアリングを実施しており、事業仕分けの対象を確定する中に学力テストも含める見通しだ。学力テストの縮小は民主党マニフェスト(政権公約)にないため、支持団体で削減を求めている日本教職員組合(日教組)の意向を踏まえた措置とみられる。
文科省側からは「テストの規模がさらに縮小された場合、都道府県や自治体間の学力比較ができなくなる」(幹部)と懸念する声が上がっており、地域間格差を是正する実効性を失いかねない状況だ。
全国学力テストは、安倍内閣時代の平成19年度に43年ぶりに復活。原則として小学6年と中学3年の全員を対象に、国語と算数(数学)の2教科で実施している。全員調査の場合、各都道府県や市町村、各学校の平均正答率が正確に把握できるため、各校や自治体が授業内容の改善に生かす効果があるとされる。
文科省は前政権下で、来年度予算として約60億円を要求し、全員調査を続ける考えだった。だが、鳩山政権は、「成績を上げるだけの競争になっては意味がない」(川端達夫文科相)と判断。予算を約36億円に削減し、希望者に行う抽出調査(抽出率40%)に切り替える方針だった。
学力テストの縮小は民主党のマニフェストや政策集にはないが、日教組の政策提言に「全員調査を抽出調査とするなど抜本的に見直す」と明記されている。民主党が政権交代前の今年7月に公表した事業仕分けの結果でも、「抽出調査で十分」としていた。
日教組は4日、産経新聞の取材に対し、「現状の抽出率40%は多すぎる。さらに予算を削減して、教育の他の予算に振り替えるべきだ」との見解を示し、さらなる削減を求めていく考えを明らかにした。
文科省、防衛省、農林水産省を対象とした非公開のヒアリングでは、刷新会議側から文科省側に対し「抽出率を40%とした根拠は何か」などと問いただす声も上がっていた。小5と中2を対象にした「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)についても質問があり、予算削減の可能性が出ている。
刷新会議は、事前ヒアリングを経て事業仕分けの対象事業を固めた後、11日から公開の場で各省事業について仕分け作業を実施し月内にも結論を出す方針だ。