米マイクロソフト(MS)のスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は5日、東京都内で記者会見し、10月22日に発売したパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7(セブン)」について「日本でも大企業約230社が導入を決めるなど非常に良い反応だ」と語った。MSは、セブンを武器に世界のパソコン市場を再び席巻したい考えだが、米検索大手グーグルが来年にも無料OS提供を計画するなど、MS包囲網は確実に狭まりつつあり、前途は多難だ。
「日本での発売後10日間の販売状況は、評判の高かった『ビスタ』や『XP』を超えている」。バルマー氏は会見でこう語り、セブンが平成19年発売の「ビスタ」や13年の「XP」を上回っていることをことさらに強調してみせた。
背景には、ビスタで味わった苦い経験がある。ビスタは動作が遅いという不満から販売が低迷。そこに追い打ちをかけたのが、昨秋以降の世界同時不況で、2009年1〜3月期決算は1986年の株式公開以来初めて売上高が前年実績を割り込む苦杯をなめた。
巻き返しを期して投入したのが今回のセブンで、バルマー氏は「今後も好調な販売が期待できる」と笑顔で語るなど、ひとまず安心している様子だ。
だが、MSが解決すべき課題は多い。中でも一番の脅威が急成長を続けるグーグルだ。グーグルは、新OS「クローム」を来年にも無償提供し、OS搭載端末に表計算や文書作成ソフトをネット経由で提供する計画を進めている。
バルマー氏は会見で感想を求められると、「グーグルOSを搭載したパソコンを見ていない」とかわしたが、OS分野で独占的な地位を保ってきたMSにとって、グーグルOSは「シェアを低下させる」(国内パソコンメーカー)危機になりかねない存在だ。
MSはグーグルへの対抗策として、表計算ソフトなどが入った「オフィス」の簡易版を来年から無償提供するが、簡易版とはいえ有償版との“食い合い”も予想される。業界内では「MSは、ビジネスモデルを崩壊させる可能性がある危険な賭けに出た」(同)と危ぶむ声すらある。
バルマー氏は「一連の取り組みはMSの収益構造を大きく変える可能性がある」と認めた上で、「変化は大きなチャンスでもある」と強調した。ただ、米アップルも8月に新OS「スノーレパード」を発売するなど、MSの競争環境は厳しさを増す一方だ。