パン、パン、パン−。マンションや雑居ビルの立ち並ぶ街の一角で白昼、乾いた銃声が響いた。横浜市南区の不動産会社で6日午後に発生した発砲事件。銃声直後、路上には血まみれの男性らが倒れ込み、火薬のにおいが立ち込めた。住民に避難を呼びかける警官の怒号が飛び交うなど現場周辺は一時、騒然となった。
午後2時ごろ、繁華街に近い南区吉野町のオーダイ住販の入ったビルの前で、男性2人がとっくみ合いのけんかをしているのを、近所の住民が目撃した。その約20分後のことだった。
「パン、パン、パン」。同じビルの4階に住む男性は、タイヤがパンクしたような乾いた銃声を3度聞いた。指定暴力団稲川会系組幹部の林賢二容疑者(62)=自殺=が発砲した銃声だった。直後、階下に「このやろう」と怒鳴る男性らの声が響いたという。
現場の向かいのビルに住む女性らによると、数分後にはビル前の路上に、腹部から大量の血を流した男性が倒れ、マンション前には上半身を血に染めた男性2人が呆然(ぼうぜん)と座り込んでいた。また、そばには洋服の袖がちぎれた女性が立っていたという。
「倒れていた男性はまったく動かず、顔が青白かった。ほかの2人は落ち着いているようにみえたが…」
目撃した女性はこわばった表情で振り返る。
■火薬のにおい
現場には銃声を聞きつけた近所の住民らが集まったが、駆けつけた警察官が一帯に規制線を張り、現場に近づかないよう警告した。
「『営業をやめて店のシャッターをすぐに閉めてくれ』と警察官が血相を変えて飛びこんできた。一体何事が起きたのかと思った」と現場近くの和菓子店の男性店主(52)は話す。近くの保育園も、慌てて建物入り口のシャッターを下ろした。現場周辺には火薬のにおいが立ちこめた。
血を流した男性らは駆けつけた救急隊員に担架で次々と運ばれた。「毛布が顔まで覆いかぶさっている人もいた。もうだめなのかと思った」(近所の女性)
そして午後4時ごろ、規制線周辺にいた近所の人らに「もっと下がってくれ」と警察官が離れるよう伝えた。直後、盾を持った警察官がビルの入り口から突入したところ、頭から血を流して死亡している林容疑者を発見した。
■びっくりした
現場から約200メートルの横浜市立日枝小学校では午後2時45分ごろ、保護者から事件の連絡を受けた。下校時間で児童たちはすでに帰り始めており、同校は緊急に全職員を集め、地区別に児童の後を追いかけて帰宅を見守った。さらに、全保護者にメールや電話で児童が無事に帰宅したかを確認するよう依頼したという。
遠藤久美子校長は「子供たちの安全の確保を第一に考えた。今後、下校時の安全対策強化も検討したい」と話した。
また、1歳の男児を近くの保育園に預けていた男性会社員(32)は、「ニュースを見てびっくりして息子を迎えに来た。巻き込まれなくて本当によかった」とほっとした表情で話した。