東証1部上場主要企業の平成21年9月中間決算で経常損益が前年度下期の赤字から黒字に転換し、業績の底打ちが鮮明になった。22年3月期の通期見通しを大幅に上方修正する動きも相次いでおり、経営者にとっても“予想外”の回復に沸いている。ただ、黒字転換の要因は国内外の政策支援とリストラ効果だ。下期に向けては、政策の息切れや円高などの不安材料も多く、このまま業績上昇が続くかは不透明だ。
予想外の象徴が日産自動車だ。通期の連結営業損益予想を期初の1千億円の赤字から1200億円の黒字へと一気に引き上げた。中国で減税対象車の販売が好調だったことに加え、販管費の削減が貢献した。
◆政策支援など要因
「外的要因に支えられた面もあるが、社内の業績回復努力によるものだ」。決算発表で、志賀俊之COO(最高執行責任者)と説明した。
企業業績の牽引役である自動車は、大手7社のうち三菱自動車を除く6社が通期見通しを上方修正した。ただ、日産やホンダが営業黒字への転換を見込む一方で、トヨタ自動車は3500億円の赤字予想で、回復力にはばらつきがある。
電機でも大手9社のうち、パナソニックなど5社が中間期で営業黒字を確保。日立製作所など2社は中間期では赤字だったが、7〜9月期の四半期だけをみれば、黒字転換を果たした。これに対し、ソニーは中間、7〜9月期とも赤字で出遅れた。
素材産業では、鉄鋼大手のJFEホールディングスが、中国などのアジア向け輸出が原動力となり、7〜9月期に営業、最終黒字転換を達成した。
◆慎重発言相次ぐ
もっとも、足元の好調とは裏腹に、決算発表では慎重な発言が相次いだ。
日産の志賀COOは「世界市場の行方は不安定かつ不透明」と強調。トヨタの一丸陽一郎副社長は「先行きは予断を許さない」と気を引き締めた。
パナソニックの大坪文雄社長は「エコポイントで年末商戦はそこそこ読めるが、年明けはみえない」と不安を口にした。
各社とも足元の業績が、政府の政策支援などに支えられていることを十分に自覚している。
エコカー購入支援は世界各国で実施されたが、米国など打ち切る国も出てきており、「先食いした反動で、今後、海外の販売が大きく落ち込む可能性がある」(民間エコノミスト)
輸出企業にとっては、円高も懸念材料だ。日産は下期の想定レートを1ドル=85円に設定。1ドル=100・7円だった前年度に比べ、通期の営業損益ベースで2000億円の減益要因になるという。
ソニーなど、下期に90円前後の円高水準に修正した企業は多いが、9月以降、たびたび80円台の一段の円高水準に突入しており、収益が目減りする懸念がある。
企業業績は最悪期を脱したとはいえ、“病み上がり状態”にある。今後、本格的bな回復軌道に乗せられるのか。各社の真の収益力が試されている。