金融制度の問題などを有識者が話し合う金融審議会(首相の諮問機関)が宙に浮いている。10月から議論が始まり、法改正案を年明けの通常国会に提出するのが通例だが、今年は日程が決まらない。借金の返済猶予を盛り込んだ「中小企業金融円滑化法案」を民主、国民新、社民の与党3党の作業部会が検討するなど、「政治主導」の場面が増えた結果、金融審の位置づけがあいまいなためだ。(藤沢志穂子)
今月4日に開かれた金融審の下部組織である基本問題懇談会。昨秋の金融危機の経験を踏まえて課題を洗い出す方向だったが、総花的な話に終始した。金融庁は「年内にも報告書をまとめる」としているものの、それが今後の金融行政にどう反映されるか、はっきりしていない。
鳩山由紀夫政権で金融行政に関する重要な決定事項は、金融審以外の場で検討が進んでいる。与党3党の作業部会で検討し、臨時国会に提出された「中小企業金融円滑化法案」のほか、来年6月までに施行される改正貸金業法で、規制強化の影響を受ける個人・零細事業主向けの支援を検討する関係省庁会議も近く副大臣や政務官を中心に発足。いずれも従来なら金融審で検討されたテーマだ。
こうした流れは官僚の関与を抑える効果が見込める一方、「手続きが遅れ気味になる」との指摘も少なくない。「中小企業金融円滑化法案」の場合、最終案は10月初旬に報告される予定だったが、関係省庁との調整不足を理由に公表が延期された経緯がある。ある金融庁幹部は「(大臣、副大臣、政務官の)政務三役に仕事が集中し過ぎて、パンク寸前だ」と懸念する。
金融庁としては、金融審を“再起動”させたいところだが、亀井静香郵政改革・金融相は日本郵政の役員人事の大幅刷新に続いて、金融審委員の「入れ替え」も示唆している。金融審が郵政民営化を前提に議論を進めたためとみられるが、金融庁は「本当にやるとすれば大変なことだ」(別の幹部)と頭を抱える。金融行政に何らかの影響が出る可能性もありそうだ。