犬と歩くベルリンの壁・境界線跡地
2009年11月6日(金)10時7分配信 dog actually
街中心部石畳のニーダーキルヒ通りに残る壁。表面は人々によって剥がされていった。 [ 拡大 ]
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1989年11月9日、ベルリンの壁が崩壊した。あれからちょうど20年。
ベルリン西部をくるりと囲み、東西ベルリンを南北に断絶した壁は全長167.8kmにも及ぶ。
1961年8月に突然引かれた境界線によって家族親戚友人達と強制的に離別された人たちのうち、崩壊までの28年間に西ベルリンへ亡命を試み200人近い人が命を落としたともいわれる。
そして東西冷戦の象徴といわれたこのベルリンの壁が開かれたのもまた突然であった。当時まだ大学生だった私は深夜のニュースで『壁崩壊』を聞いたのを覚えている。まさかその跡地を犬連れとして利用しようなど、到底思いもしなかった。
壁が崩壊した後、境界線の緩衝地帯だったところにはただ広大な草地だけが残された。住宅地などに開発された旧境界線は街の中などほんの一部、その他はせいぜい監視塔や照明塔が撤去されたものの現在でもその多くがほぼ手付かずである。
この旧境界線、犬連れには実に持ってこいなのだ。
例えばベルリンで新しく犬を飼い始め、どこで犬を運動させることができるかドッグランなどの情報について最寄の役所に問い合わせたとすると、もちろん区内のドッグラン情報などは教えてくれるが、そこでこっそりと「旧境界線へ行け」と言われる。
非公式ながら市が奨める犬の運動場、それが旧境界線なのだ。空き地ができたからといって急いで開発することをせず、わざわざ市民の憩いの場として解放している。太っ腹というか、大らかというか、自然好きなドイツらしいというか、とにかく犬連れにはありがたい限りだ。
ベルリン北部の境界線跡地では両脇を森に挟まれた幅100mほどの砂地が1km以上も続き、どんなに犬がモーレツに走ったところで誰にも迷惑はかけないけれど、時々馬連れにも出くわすことがあるのでビビッてはいけない。ところどころに境界線の残骸として極太の電線やコンクリの塊が地面から顔を出しているのにはちょっと気をつけなければならないが、いつまでも歴史を思い出させてくれる貴重な遺物である。
南部の境界線跡地では境界線に沿って建てられた高層マンションを眺めつつ、広い空を渡ってくる風に吹かれながら散歩ができる。しかし数年前に馬の放牧用にと柵が設けられ、ちょっと手狭になってしまった。ま、家が建つよりはずいぶんとマシなのだが。
南部境界線の後ろ、ブランデンブルグ州に入ると取っ払われた壁が比較的無造作に放置されているところがある。この20年間捨てるでもなく大事に保存するでもなく、ただそれぞれが複雑な思い出を持つこの壁の扱いにいまだに迷っているかのように、壁は放置されている。私達のような散歩ついでの犬連れのほかには、特に誰かがわざわざ見物に来ることもないようだ。
人々は当時どんな思いをしながら壁の前を歩いていたのだろう?