渋いデザインが魅力!江戸扇子の新しい試みとは?
2009年8月28日(金)11時0分配信 R25
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「扇子作りが昔から盛んだったのは京都ですが、江戸扇子は京扇子に比べて骨の本数が少なく、デザインがシンプルなのが特徴です」。こう語るのは、東京都江戸川区で江戸扇子工房を営む松井宏さん。この道41年という江戸扇子職人だ。
骨とは、扇面の和紙を支える竹の部分のこと。一番外側の太い骨を「親骨」、扇面に差し込まれている骨を「中骨」という。京扇子の骨の数は25〜60本だが、江戸扇子の骨の数は15〜18本。また扇面の図柄にしても、京扇子がカラフルで華やかなのに対して、江戸扇子は空白の部分を生かした素朴なものが多い。
使う素材にも違いがある。京扇子は骨に木や合成樹脂、扇面に絹や金銀箔なども使うが、江戸扇子は竹と和紙のみ。これは、雅やかな貴族社会として発展した京都と、質実剛健・質素倹約の武家社会として発展した江戸との土地柄の違いなのだとか。ちなみに、噺家さんが寄席の高座で使う高座扇は骨15本で長さ七寸五分(22.7 cm)、日本舞踊で使う舞扇は骨10本で長さ九寸(27.2 cm)と昔から決まっている。
扇子作りには、地張り(和紙を何枚も張り合わせる)、平口開け(和紙に骨を通す穴を開ける)、折り、中差し(骨を通す穴を奥まで開ける)など30以上の工程がある。
「いまはほとんどの工程を1人でやっているので、1本の扇子を作るのに4日かかります。もちろん一度に数十本ずつまとめて作りますが、すべて手作業だから量産はできない。毎日が延々“4日サイクル”の繰り返し。だからこの仕事に、定休日なんかありません」(松井さん)
1人で何工程もこなさなければならないのは職人の数が激減しているかららしい。江戸扇子職人は都内に4〜5人を残すのみ。近い将来、消えていくかもしれない文化なのだ。
そんななか、伝統工芸復活に向けて、松井さんも新しい試みにチャレンジしている。それが2003年からスタートした「えどがわ伝統工芸産学公プロジェクト」。松井さんをはじめ、江戸川区在住の伝統工芸者14名が、多摩美術大学・女子美術大学・東京造形大学、それに江戸川区とタッグを組み、学生たちのアイデアを生かしながら、古くて新しい伝統工芸品の開発を始めている。すでに商品化され、ネット通販されている工芸品も少なくない。
「あと何年生きられるかわかりませんが、職人は死ぬまでの毎日が修行なんですよ。自分で一人前だと思ったことは一度もない。終着点には永遠にたどり着きません。でもそれを目指して走り続けるのが、職人という仕事なんですよね」(松井さん)
松井さんが作った扇子であおいでみると、どこか懐かしい江戸の涼風がさわさわと吹いてくる感じがする。「えどがわ伝統工芸産学公プロジェクト」のような新しい風を起こしながら、末永く江戸扇子の文化が継承されていってほしいです。
(R25編集部)
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