飛騨牛偽装のワンマン創業者
社長「反省なき」人生
2008年7月3日(木)0時0分配信 AERA
掲載: AERA 2008年7月7日号
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始まってすぐに頭を下げた。謝罪会見のはずだった。ところが、時間とともに雰囲気が変わっていった。
——飛騨牛として売れと言ったんですか?
「それは解釈のしようでございます」
——偽装の指示はしましたか?
「偽装の指示? 私は偽装しようと思ってませんもん」
左隣に座った弁護士が、
「時間だからもうやめましょ」 と促すが、社長は興奮したまま話し続けた。甥の広報担当者が、
「社長、もう大丈夫ですから」
と何度もなだめに入って、ようやく終わった。
元工場長に「出て行け」
飛騨牛の等級に始まり、産地、賞味期限と、次々に偽装が発覚した岐阜県養老町の食肉販売会社「丸明」。当初は、「偽装は従業員が勝手にやった」として、報道陣の前で従業員と言い争いを始めた吉田明一社長。6月26日の謝罪会見を見た地元の人たちは口をそろえた。
「やっぱり、ワンマンだなあ」
従業員の話では、何をするにも社長の許可がないと決められない。口ごたえをすると追い出される。老舗の食肉会社が多い養老町でも、丸明は従業員の入れ替わりが激しい会社として知られていた。
偽装を告発した元工場長が農林水産省の事情聴取のために丸明本社を訪ねたときも、吉田社長が「出て行け」と一喝。しばらく会社に入れなかった。
吉田社長は中学卒業後から働きに出て、1972年に丸明を創業した。ライバルが多い町内の戦いをへて、地域有数の規模にまで育てあげた。東海・北陸地域を中心に展開する地元スーパー「バロー」に独占的に肉を供給し、スーパーの店舗拡大と共に成長してきた。
「ただの卸業者ではいけない」
と、直営の販売所を県内に3カ所つくり、名古屋市内でステーキやハンバーグのレストランを出店する多角経営だった。帝国データバンクの調べでは、昨年の売上高は約100億円。この10年で売上高は3倍を超える急成長だ。
2004年に会社を個人商店から法人化し、05年には新社屋を建設。年末にある飛騨牛の品評会では、最優秀賞を受賞した牛の競りにことごとく参加。1キロ1万円超の高値で競り落とすなど、ここ数年の羽振りのよさは際立っていたという。
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