現れた細川内閣の亡霊
いまさら次郎の仕掛け人
(AERA 2009年11月2日号掲載) 2009年10月29日(木)配信
こともあろうに細川内閣を崩壊させたミスター大蔵省が日本郵政社長になる。
政権の「脱官僚依存」は看板に偽りあり。鳩山は細川の二の舞いになりはしないか。
日本郵政社長に元大蔵次官の斎藤次郎氏(73)が内定した。民主党の支持者がのけぞる驚愕の人事の裏には、財務省を引き込んで政権運営を固めたい小沢一郎幹事長、反竹中・小泉路線を鮮明にしたい亀井静香郵政改革担当相、大物OBを政権の近くに送り込みたい財務省、それに復権に執念をかけた斎藤氏本人、それぞれの思惑が合致した結果である。
郵貯マネーも握る
民主党は「脱官僚」を唱えながら、今や財務省に頼っている。膨らむ予算を圧縮するには財務官僚の知恵と腕力を借りたい。財務省にとっても、日本郵政は要衝である。250兆円の郵貯マネーは膨張する国債の大口引受先だ。懸案になっている「国債の個人向け販売」に全国の郵便局を、という狙いもある。国債は銀行や年金など機関投資家だけでは消化に限度があり、個人にはめ込むことが課題となっている。日本郵政の高木祥吉副社長は斎藤次官の引きで金融庁長官になったといわれる人物。そんな間柄から高木・亀井・小沢のラインで今回の人事が画策された、と見る人は少なくない。「斎藤社長」になれば高木副社長、米澤友宏専務(元金融庁研究開発室長)による大蔵支配が郵貯マネーを握る。
細川内閣で小沢一郎・新生党代表幹事と手を組んだ斎藤氏は、自民党が権力に戻ると、要職から締め出された。2000年5月、東京金融先物取引所の理事長になるが、ここは「財務省ファミリー」の中で東証理事長よりはるかに格下のポストとされている。土田正顕・元国税庁長官が東証理事長だった。「斎藤さんが土田さんの下では序列が逆」と財務省の現役幹部は困惑していた。「大蔵省のドン」とまで言われた斎藤氏は冷遇に切歯扼腕し、復権に執念を燃やしていた、と言われる。
斎藤氏は「10年に一度の大物次官」とよく言われる。しかしこういう意味不明な言説が流れるのがいかにも大蔵省である。斎藤氏がどのような業績を上げたのか。表では言えない活躍があったのかもしれないが、説明も情報もないまま「謎めいた評判」が役人の勲章となる。それが大蔵流である。
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