加藤和彦氏の自殺
父親世代「荷おろしうつ」
(AERA 2009年11月9日号掲載) 2009年11月6日(金)配信
フォークソングの草分けとして活躍した加藤和彦さんが自殺した。
団塊世代の男性は、うつ病自殺の危険が高い。
加藤和彦さんは10月16日、知人の女性と携帯電話で話した際、自殺をほのめかす言葉を口にして、連絡がとれなくなった。死後、うつ病をわずらっており、「やりたいことがすべてなくなった」と知人に手紙を送っていたことが明らかになった。
62歳だった。団塊の世代だ。東京医科大学病院メンタルヘルス科の飯森眞喜雄教授は、この時期を「壮年期と老年期の中間の曲がり角にあたる」と位置づけている。子どもも手がかからなくなり、会社でも定年を迎える。「人生一区切りだ」という「荷おろし感」を感じる年齢で、この時期、うつ病になりやすいという。普通なら、「荷おろし感」は達成感になるが、うつ病だと逆に「虚しさ」や「無意味感」になってしまう。
現役のビジネスパーソンから定年後の団塊世代までカウンセリングに訪れる横倉クリニック(東京都港区)の横倉恒雄医師のもとを最近、大手IT関連企業を定年退職した男性が訪れた。自宅にいてもやることがなく、気軽な気持ちで昼から酒を飲み始め、しだいにアルコール依存症になった。男性はこれまでの人生を振り返り、
「30年以上同じ会社で勤めあげたが、結局、仕事は面白くなかった」
と落ち込んでいた。横倉さんによると、60歳を過ぎると、自分の人生を肯定的に受け入れられず、周りの環境にも順応しきれなくなる人が多いという。
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