パパ、ママたちへの警鐘
早期教育で病んだ子どもたちが増えている
(週刊朝日 2009年09月18日号配信掲載) 2009年9月9日(水)配信
書店には家庭向け教育雑誌が所狭しと並ぶ。「0歳から」「天才をつくる」といったフレーズが躍る [拡大]
親ならば、愛するわが子の才能を伸ばしてあげたいと思うもの。そんな思いから、早くから何らかの幼児教育を始める親が増えている。その早期教育が、逆に子どもを苦しめているとしたら──。
1歳になったばかりの男の子、Aくん。ある時期から食べ物がうまくのみこめなくなった。無理に食べようとすると吐いてしまう。夜中たびたびうなされ、昼間もごろんと部屋に寝転がり、無気力なことが多い。体の具合が悪いのではと、母親は小児科を受診した。
母親は、一日じゅう英語のDVDを見せ、通っている英語塾で使う英単語カードの教材を1日10分ずつやらせていた。Aくんが乗り気でないときでも、膝に座らせて何とかやらせようとした。そのころから、Aくんがお母さんに寄ってこなかったり、急に暴れたりするようになっていたが、にらむとおとなしくなるので、そのまま続けていたという。
診察した医師は、「Aくんは病気ではなく、お母さんに敷かれたレールの上を走るのに精いっぱいになっていただけだ」と考え、母親に、抱きしめてあげたり、一緒に遊んだりするようにとアドバイスした。DVDや教材は、一切やめた。
1週間後に受診したAくんの症状はすっかり消え、ご飯が食べられるようになり、夜もぐっすり眠るようになったという。
5歳の誕生日直前にお母さんとやってきた女の子、Bちゃんはケンケンと空咳が止まらず、「胸が痛い」と訴えた。頭には、円形の脱毛があった。
Bちゃんの顔は能面のように無表情で、普通の子どもにある手の温かさがまったくなかった。
医師は、母親を部屋の外に待たせてBちゃんと一対一で話した。
「お母さんは、どれくらい優しいの?」
Bちゃんは何度もドアを振り返って母親がいないかどうか確認してから、右手と左手の間を5aくらい開いた。にらみをきかされたり、頭ごなしに怒られたりすることが長期間続いた子がよく示す反応だった。
医師は、Bちゃんと会話を続けた。「お母さんが怖い」「もっと一緒に遊んでほしい」「おけいこがいや」……。絞り出すように、自分の気持ちを話し始めた。
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