楽天の奇跡
野村采配だけじゃない!「強くなった」理由
(週刊朝日 2009年11月6日号配信掲載) 2009年10月28日(水)配信
日本シリーズは逃したが、創設5年目で初のクライマックスシリーズ(CS)に進んだ東北楽天ゴールデンイーグルス。97敗を喫した1年目から、奇跡とも思える変身ぶりだ。野村克也監督の采配だけではない成長の秘密を読み解いてみる。
ノンフィクションライター 神田憲行
球団が誕生した05年から仙台に通い、「最古参楽天番記者」をひそかに自任する私も、この快進撃は嬉しい想定外だった。千葉ロッテとの1年目の開幕第2戦に0−26で大敗し(ヒットも1本だけ)、室内練習場もなく「雨が降ったら練習は休み」という田舎の高校野球みたいなチームが、5年目で西武ライオンズに引導を渡し、CS第1ステージでは福岡ソフトバンクホークスを2連勝で一蹴(いっしゅう)してしまうのである。1年目にソフトバンクにコテンパンにされて、島田亨・球団社長(現・兼オーナー)と夜飲みながら「勝つ方法がまったくわからない」と2人で頭を抱えていたのが嘘のようだ。
なぜ球団は5年でここまで強くなったのか。野村克也監督の功績があることも確かだが、それだけではない。そもそも野村監督自身が「監督代えたぐらいでチームは強くならん」と言っている。私なりにポイントを考えてみた。
まず5年前と今のチームでは外見は同じでも、体の中を流れる血液はそっくり入れ替わっている。1年目の創設メンバーで現在も球団に在籍している選手は、内・外野手で29人中9人、投手で30人中8人、捕手にいたっては8人中ひとりしか残っていない。新陳代謝が進んだのは、1年目の開幕第2戦で先発した藤崎紘範投手が現在は打撃投手になっていることからもわかるだろう。楽天は知られているとおり消滅球団の近鉄バファローズの1軍半から2軍クラスの選手を中心に編成されたが、この旧近鉄系選手を中心に“整理”が進み、今のCSで1軍ベンチにいる旧近鉄系の野手は高須洋介、憲史、藤井彰人の3人のみ。ときには既存の選手の能力が上回っていても、新加入の選手を起用し続けた。理由は「惰性」を嫌ったためだ。1年目の山下大輔2軍監督(当時)はこう語っていた。
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