ムシャラフが語る「核とブットとタリバン」
(クーリエ・ジャポン 3月号掲載) 2008年3月3日(月)配信
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──最近の国内状況から聞かせていただきたい。地元紙は「大統領はいま、混んだ道を護衛なしでは歩くこともできない。民衆のつるし上げを怖れている」と報じている。民衆を怖れているか?
ムシャラフ(以下M) まったく、ばかばかしい話だ! 私はホテルだって、レストランだって、どこでも歩き回っている。これからレストランにでも一緒に行くか? 国民は、みんな私に近づき、一緒に写真を撮らせてくれと言ってくる。先日も、カラチのビーチで大勢の人にもみくちゃにされた。
──パキスタン人民党の総裁に就いたビラワルや彼の父親のザルダリが殺害されたら、パキスタンにとって大きな危機だ。彼らに特別な警護態勢を敷いているのか?
M あらゆる有力政治家向けに、警護態勢は敷いている。だが、ザルダリは出身部族による自らの警備態勢を持っているし、ベナジル・ブットの暗殺事件のときも、彼女が自ら任命した警備主任らに加え、彼女の私設警備隊が大勢、警護にあたっていた。ザルダリ親子の身の安全をめぐって政府を非難するのは、お門違いだ。
──ベナジル・ブットといえば、あなたの彼女に対する評価を聞かせていただきたい。
M 彼女は勇敢だった。暗殺当日のように、無数の人々の支持を一身に浴びた高揚感のなかでは、つい警戒心も緩む。支持者が押し寄せてきたら、すべきではない行動も取ってしまうものだ。だがあのとき、車から身を乗り出したのは、賢明ではなかった。
──結局、死因は何だったのか?
M 私は遺体を見ていないが、医師らの話では頭部右側にいくらか不明点はあるが、彼女の身体に銃創はなかった。私が1発の銃弾が死因だと語った、と言われているが、私は頭部が大きく陥没しており、飛び散った体の一部が存在すると言っただけだ。
──では、タリバンについてお聞きしたい。あなたは以前、アフガンのハーミド・カルザイ大統領にタリバンと交渉するよう、アドバイスしたことがありますね?
M タリバンと交渉というのは、彼らの中に政治的決着のための渉外責任者がいるのなら、食い込んでおくべきだということだ。
──しかし、世界の大半の人々が野蛮と考えるタリバンへの接触は浅慮だと言う人も多い。
M 彼らの蛮行については、私たちも厳しく追及している。だが軍事行動は一時しのぎにしかならない。「接触などやめろ。軍事行動あるのみだ」という声に耳を貸せと? そんなことはあり得ない。ところが、米国を始め先進各国は、タリバンと接触すると「奴らの一味か!」と叫び出すのだ。
──9・11のテロを受けて米国が主導したアフガニスタン侵攻は早計だったと思うか?
M 思わない。オサマ・ビンラディンが関わっていたのは明白だった。ここで一つ、事を明かそう。テロ事件以前、我が国はタリバンと関係を保っている数少ない国の一つだった。そこでビル・クリントン大統領(当時)に、タリバンが実権を掌握した現実を受け入れ、彼らと外交関係を結び、内部から変化を働きかけていこうと話した。もしそれが実現していれば、歴史は変わっていただろう。
──米国のヒラリー・クリントン上院議員は、英米が協力してパキスタンの所有核兵力を監視すべきだと主張していますが。
M パキスタン国民が、核兵器を誇りに思っていることを、彼女は理解すべきだ。パキスタン国民はこの問題への侵害や干渉を許さないだろう。あらゆる地域的脅威に対して、核兵器が安全保障になっていることは国民の総意だ。
──しかし軍人出身のあなたなら、パキスタンの核兵器が原理主義者らの手に落ちる可能性を米軍が検討しているのはわかるはずだ。
M 核兵器はすべて、中将率いる陸軍戦略部隊指令部の元にある。銃一丁でも、我が陸軍部隊から盗み出せるものなら、やってみるがいい。国軍の組織は盤石だ。
──では、この地域に中国がどう関わろうとしていると思うか?
M 中国の視点は、西側メディアのそれとは大きく異なっている。私は、メディアの指図に従ったり、人権や民主主義を追求することより、国家の安全保障や国の安定をはるかに重視する。彼らはこのことを理解してくれている。
──最後に、総選挙でPPPが圧勝し、大統領弾劾に必要な3分の2議席を確保することを憂慮しているか聞きたい。
M もしそうなったら、私は彼らが行動する前に、自ら大統領職を去るだろう。
ストレーツ・タイムズ(シンガポール)より
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