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経済

投信商品の基準価格の不思議【保田隆明コラム】

ダイヤモンドオンライン 2009年10月27日配信掲載) 2009年10月28日(水)配信

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 先般、ザイ・オンラインのコラムにて、毎月分配型投信の商品性について改めて考えるコラムを書いたが、それは大学院での行動ファイナンスのクラスでのディスカッションを受けたものであった。今回はそのディスカッションの続きとなるが、投信商品における基準価格に関してである。

 投信では基準価格というものが設定され、通常は1口1万円で販売開始される。これが運用されるに従って、そのパフォーマンスに応じて基準価格は上下する。よいパフォーマンスのものは基準価格が上がり、悪いパフォーマンスだと下がる。

 日本には3000ほどもの投信商品が存在するらしいが、3000もの中から自分に最適な商品を選択するのは大変である。また、運用側もそれほど多くの商品を管理するのも手間がかかる。できれば、ある程度の商品数に絞ったほうが投資家にとっても、運用側にとってもいいと思うのだが、商品提供側がひたすら新商品を提供し続けた結果、今のように商品数が膨大になった。

 では、なぜ新商品を提供し続けるのか。それは、基準価格1万円の投信商品が最も売りやすいから、というのが答えのようだ。「1口1万円で目安となる利回りが2%」と言われると、個人投資家はそれに自分が投資する金額を掛け算すれば年間どれぐらいの利益が出そうか予測できる。たとえば、50万円投資すれば1万円の利益が出る、というようにである。その際、基準価格の変動はあまり考慮しない。実際には、基準価格の変動が発生し、それによって途中で売買した場合のトータルのリターンは異なるが、投信の場合は、株式のように将来の価格の予測をしてくれるアナリストに頼ることもできず、どうしても当初の期待リターンは基準価格を一定のもとで考えることとなる。

 これは逆にいえば、基準価格が1万円ではない投信商品は買いにくいことも意味する。世の中にたくさん基準価格1万円の投信商品が提供される中、あえて1万円ではないものを買う必要性は薄いということだ。1万円を超えるものならパフォーマンスがいい商品なので良さそうなものだが、むしろ割高に映ってしまうらしい。ひとたび運用を開始すれば基準価格は1万円から乖離するため、新たに顧客に投信商品を提供するためには既存のものに勧誘するのではなく、結局また投信商品を組成する必要が出てくる。そして、結果として3000もの投信商品が存在することになった。

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