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“郵政改革の大転換”に見る日本の宿痾 〜なぜ、焼け野原にならなければ改革できないのか

ダイヤモンドオンライン 2009年10月28日配信掲載) 2009年10月29日(木)配信

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 ある財界人が言った。

 「日本では、『事前処理型』再建ではなく『事後処理型』再建じゃないとうまくいかないということだな」――。

 彼は日本郵政社長候補にも挙げられた辣腕経営者である。『事前処理型再建』とは、その郵政事業の民営化を指している。対する『事後処理型再建』の典型は、国鉄改革、JRの民営化である。今や、日本航空も同類と言えるだろう。

 国鉄は誰の眼から見ても、破綻は明らかだった。巨額の債務を抱え、赤字を垂れ流し、サービスは劣悪を極めた。もはや大胆な改革のメスを入れるしかないと、政・官・財だけでなく国民が認めた。そうして、国家的コンセンサスのもとで、不良債権を根こそぎ国鉄清算事業団に分離し、公的資金という国民負担で処理することにし、民営JRはきれいな体で再出発することになった。破綻という事の後の民営化だった。

 一方、郵政三事業は経営状態が危険水域に入る前に、民営化という改革の手が打たれた。体力は十分に残っている段階であり、政・官の一部にとってはまだ十分な利用価値があった。いわんや、多くの国民、とりわけ地方過疎地にとっては極めて利便性の高い存在であった。破綻という事の前どころか、破綻のリスクなど見えない時点での民営化であった。見えないものの回避のために、公共サービスを放棄することなど受け入れ難い。民営化後も、抵抗勢力は全国各地に残った。

 民主党政権は、小泉政権が「官から民へ」という看板を掲げ、民営化に舵を切った郵政改革の基本方針を180度転換した。次期通常国会に、郵政改革法案(仮称)を提出する。

 法案のポイントは、三つある。第一に、全国の郵便局ネットワークを維持、活用する(廃止された局の復活もありえる)。第二に、郵便、郵便貯金、簡易生命保険のユニバーサル(全国一律)サービスを一体で提供する。第三に、現在の持ち株会社・4分社体制を見直す。官業への逆行と揶揄される方針転換の実現のために、亀井静香・郵政担当相は三井住友銀行出身の西川善文・日本郵政社長を事実上更迭し、元大蔵省事務次官の斉藤次郎・東京金融取引所社長を後継に就けた。

 郵政民営化はこれまで、その理念、目的がさまざまに語られてきたが、煎じ詰めれば、郵政三事業とその運営組織体をそのまま放置しておくことはできない、という判断を意思決定者たちが下したのだと思われる。

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