London
【海外メディア最新事情】マードック・ジュニアの英BBCメッタ斬りで怒りの渦
(GALAC 2009年11月号掲載) 2009年10月6日(火)配信
文=在英ジャーナリスト
小林恭子
八月末、夏とは言えどすでに小寒い風が吹きすさぶ英国スコットランドの首都エディンバラ。毎年この時期に開かれる「エディンバラ国際テレビ祭」(今年は八月二十八日〜三十日)に出席するため、放送業関係者約千人余が集まった。
テレビ祭の初日夕刻には恒例の基調講演がある。スピーカーに選ばれるのは、その年メディア界でもっとも注目度が高く、放送業界の将来の見極めに灯りを照らしてくれるような人物だ。対する聞き手は英メディア業界のエスタブリッシュメント―英国放送協会(BBC)や民放各社の経営陣に加え番組編成責任者、制作者、そして大手全国紙のメディア記者たち。良い講演となれば後年まで語り継がれ、スピーカーの株は上がる。下手な講演だったら評判は急降下だ。
同業者による厳しい審判を今年受けることになったのは、弱冠三十六歳のジェームズ・マードック。豪州出身の米大手メディア複合企業ニューズ・コーポレーション最高経営責任者ルパート・マードックの次男だ。父親が築いたメディア帝国の後継者と目されている。約九〇〇万人の契約者を抱える英国最大の有料衛星放送BスカイBの会長(非常勤)であり、ニューズ社の経営陣としてタイムズ、サンなど影響力の強い英国の新聞数紙を統括する立場にもある。
多チャンネル化やネットの普及で広告主と視聴者を失いつつある放送業界は、昨今の不景気でさらに大幅な広告収入の減少に悩む。若きプリンス、マードックが窮状打開の手がかりを与えてくれるのではないか? 大きな期待と興奮を抱いて会場に集まったメディア陣は、マードックに横っ面をはたかれた上に金槌で頭を殴られたような時間を過ごすことになった。
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