放送批評懇談会が選ぶベスト番組【ギャラクシー賞月間賞】
王・長嶋が演じ続けた“スター像”〜NHKスペシャル「ONの時代」
(GALAC 掲載) 2009年11月8日(日)配信
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NHKスペシャル「ONの時代」第1回「スーパーヒーロー 50年目の告白」第2回「スーパーヒーロー 終わりなき闘い」
9月20日、27日放送 21:00〜21:58
日本放送協会 NHKグローバルメディアサービス
長嶋茂雄と王貞治。この2人の名前には、多くの日本人は特別の感情を抱くはずだ。それは野球に興味があるとか巨人が好きとか、そういうこととは関係がない特別な感情だろう。まさに“不世出のスター”である2人が、ファンの目に触れないところで、一体どのような野球人生を送ってきたのか……。ON誕生から50年、選手時代と監督時代の2回に分けてONの実像を描き、なんとも心に染みる番組に仕上げていた。
以前、空港を歩く長嶋とすれ違った人たちが皆、思わず振り返って微笑んでしまうというCMがあった。私たちが長嶋に抱くイメージはまさにそんな印象で、天真爛漫、天才肌の華のある野球選手で、周囲を明るく幸せにしてくれるというものではないだろうか。一方、王は努力して一本足打法を習得し、まるで修行僧のような練習を重ね本塁打の世界記録を打ち立て、尊敬を集める人格者というものだろう。しかし、長嶋はそんなイメージに自分を合わせるために旅館の一室に籠って人知れず血のにじむような練習を積み、同様に、王も長嶋と好対照の存在として自分に与えられたイメージと役割を受け入れ、それに合わせて更に努力を重ねていく。ファンとしては知らないほうが幸せなのかもしれない実像を、番組では関係者の証言も交え容赦なく描いていく。そこにはドキュメンタリーとして、そして日本人の大切な記憶として残さなければならないという強い意志と使命感が感じられ、心に響いた。
決して“作られたスター”ではないのに、求められるスター像であろうとした2人は、監督になってもその役割を果たそうともがき続け、ついに日本シリーズで夢の「ON監督対決」を果たす。そんなONの物語を聞いた後、現在の2人が多摩川グラウンドの打席に並んで立つ姿には思わず目が潤む。放送後、きっとあちこちの居酒屋で、多くのオヤジたちがこの番組について語り合ったことだろう。2人と同じ時代に生き、頑張ってきたことを誇りに思いながら……。
(古賀靖典)
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