水泳、柔道、体操の「お家芸」で世代交代が進んでいない――スポーツ紙記者ほか真剣シミュレーション
「北京五輪で日本の金メダルはアテネの半分以下」の衝撃予想
前回04年のアテネ五輪で日本は金メダル16、銀メダル9、銅メダル12という、自国開催だった1964年の東京五輪の金16、銀5、銅8を上回る大活躍を見せた。金メダル数では世界5位、総メダル数では6位という好成績で上出来だった。 では、今夏の北京五輪ではどうか。取材を進めると、残念ながら、暗雲たれこめる現状が明らかになった。以下、前回大会で活躍した競技、話題の選手がいる競技を中心に北京五輪でのメダル獲得予想を取材した。
(SAPIO 2008年2月27日号掲載) 2008年3月3日(月)配信
文=SAPIO編集部
<柔道>
アテネでは男子3階級、女子5階級で金、男女それぞれ1階級で銀を獲得し、本家の面目躍如だったが、北京ではかなりの苦戦が予想される。
要因はいくつもある。まず、アテネのメダリストの多くがピークを越しつつあるのに世代交代が順調に進んでいない。例えば、60s級で五輪3連覇中の野村忠宏はもはや世界で絶対的な存在ではないが、それを超える新星が登場していない。また、100s超級では井上康生、棟田康幸、石井慧と人材は豊富だが、絶対的な強さではない。
昨年9月の国際柔道連盟理事選で山下泰裕氏が落選し、日本の理事が不在になったことの影響も考えられる。「北京までにルールが変わることはないにせよ、判定の傾向など多くの面で日本に不利に働く。日本は柔よく剛を制し、綺麗に一本を取る柔道を理想としているが、世界の主流はパワー柔道で、ポイント重視。日本は死に体≠ゥどうかをきちんと見るが、外国はそうではない。こうした傾向はますます強まる」と、日刊スポーツスポーツ部デスク首藤正徳氏。
ちなみに、世界で主に使用されているアディダス製柔道着は、国内のミズノ製より硬いため組み手が取りにくく、ポイント重視の柔道に有利だ。この潮流に日本人で最も対応しているのが、昨年9月の世界選手権で5試合中1試合に一本勝ちしただけで優勝した谷亮子だという。
こうしたことを考えると、日刊首藤氏は「国際試合に強い谷の金は確率が高いが、それ以外では金が1つか2つ取れれば御の字かもしれない」と話す。それどころか、サンケイスポーツ運動部の山田貴史記者は「最悪の場合、金が男子95s超級の斉藤仁1人、銀0、銅3に終わった88年のソウルの悪夢が再来しないとも限らない」とまで予想する。柔道ニッポンは20年ぶりの危機を迎えている。
<水泳>
アテネで金3、銀3、銅4と大健闘した水泳も世代交代が進んでいない。「北京の代表候補には前々回のシドニーから代表だった選手も少なくなく、経験豊かな選手が安定した力を発揮できる一方、勢いで実力以上の力を発揮する選手が少ない」と、スポーツニッポンスポーツ部記者の首藤昌史氏。
100m、200mの平泳ぎで金だった北島康介はアテネ後低迷。昨年の世界水泳の100mで銅、200mで金を獲得したが、100mの優勝者でライバルのハンセン(アメリカ)は200mには戦略的に欠場している。北島に金の可能性もあるが、世界記録を出した頃の勢いはない。アテネで銀だった山本貴司ら200mバタフライ勢から誰かが銅を取る可能性はある。数少ない新星は背泳ぎの入江陵介、18歳。1月の国内大会で100m、200mを制し、化ければ北京で銅に届くかもしれない。競泳女子は金の可能性はなく、800m自由形で金だった柴田亜衣が銀を、200m背泳ぎで銅だった中村礼子らが銅を取れるかどうかだ。
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