アメリカを揺さぶる「かつてない強者」と「かつてない弱者」の共存
庶民は「40万棟差し押さえ」、NY住宅は「平均1億5000万円」の歪んだ大国≠フ現実を見よ
(SAPIO 2008年2月27日号掲載) 2008年3月4日(火)配信
文=SAPIO編集部
FRBの今年最初の利下げは、3連休明けの1月22日の朝に発表された。0.75%という思い切った下げ幅だったが、トレーダーたちは市場が始まる1時間以上前から、すでに暗い顔をしていた。
「問題は何%下げるかではない。タイミングだ。バーナンキ(FRB議長)の判断は遅すぎる。市場が下落するのを見てから慌てて利下げを検討しているようでは投資家たちは逆に不安になる。彼はリアクティブ(対症療法的)で指導力がない」(中堅ファンドマネージャー)
そのとおり、本来ならグッドニュースのはずなのに、市場は開始と同時に大暴落となり、ダウ平均株価は一時、連休前より600ドル近く安い1万1508ドルまで下げた。いまだにアメリカの報道をそのまま訳して外電≠装っている日本の新聞やテレビは、この訳の分からない市場の反応を理解できず、米メディアが見出しに多用した「fear of recession」を直訳して、市場暴落の理由は「景気後退の恐れ」だと報じていたが、勘違いも甚だしい。景気後退の危険は昨年から広く指摘されており、FRBの利下げを見て気付く馬鹿な投資家はいない。トレーダーたちが恐れたのは、進行する景気後退にあまりにも無策なFRBとブッシュ政権の能力であり、先のファンドマネージャーが言うように、リアクティブな景気対策では歯止めにならないと見ていたからだ。別のアナリストは、バーナンキの金利政策への失望をこう語った。
「利下げは投資家心理の面では効果があるが、それは一時的だ。リセッションを防げるかどうかは、信用不安の回復がカギを握る。現在、サブプライム問題の影響で企業のCP(コマーシャル・ペーパー=短期借り入れのための約束手形)が発行しにくくなっている。利下げは企業の金利負担を下げる一定の効果があるものの、信用回復とは関係ない。バーナンキは経済学者にすぎず、市場がわからない」
金融界の冷たい評価に肝を冷やしたFRBは、わずか1週間後の1月30日に、さらに0.5%の利下げを決めたが、これは景気対策というより、ウォールストリートのご機嫌取りでしかない。
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